外科

外科

当院では、外傷や熱傷の処置、および局所麻酔で行える外科的手術治療(整形外科的疾患を除く)を積極的に行っております。これまでに施された外科治療の症例数とともに、治療が適正に行われていることが評価され、2011年1月より日本外科学会の関連施設に指定されました。(千葉市内の無床クリニックでは、初めての指定となりました)

対応疾患

  • 外傷(擦過創や縫合を要する切創等)
  • 皮膚の表在腫瘤(粉瘤、脂肪腫等)
  • 良性乳腺腫瘍
  • 鶏眼(うおのめ)、ひょう疽
  • 熱傷

極力迅速な処置ができるよう常に準備しておりますので、地域住民の皆様で、上記のような外傷や外科的疾患で困った場合には、どうぞ安心してご来院ください。

新しい創傷・熱傷処置について

「消毒してガーゼ 」は厳禁

道で転んで手足や顔にすり傷(擦過創)ができてしまった時、皆さんはご家庭でどのようにしておられますか。また、病院に行ったときにどのような処置をされてきたでしょうか。家ではマキロン、病院ならばイソジンやヒビテンなどの消毒をしてガーゼで覆う、といった処置が一般的でした。そして、化膿しないように乾燥させたまま、かさぶた(か皮)ができて、「治った」と思ってはいませんでしたか。実は、この処置は傷に対して少しも良いことをしていなかった、いやむしろ、傷を痛めつける処置法だったのです。

「かさぶた 」は治癒が途中でストップした状態

傷口にガーゼをあてたり、むき出しのままにしていると、ごわごわとした「かさぶた」ができて、あたかも傷が治ったかのように思うことがあります。実はこれは上皮が形成されないまま、治癒過程が途中で止まってしまったのです。「かさぶた」は、傷が治らない時にできるもので、時には感染の原因にもなり、創治癒の大敵なのです。「かさぶた 」は治癒が途中でストップした状態

この傷口には、見事な「かさぶた」ができています。そしてなお悪いことに、「かさぶた」を異物・壊死組織として感染を起こし、周囲が赤く腫れています。

何が良くなかったか

まず、細菌をやつけようとして塗った消毒薬は、皮膚欠損した組織の細胞に多大な傷害を与えてしまうということです。傷害された組織は、その後の皮膚の再生に大きなマイナスとなってしまいます。では、消毒しなくて良いのか?・・・はい、消毒する必要はなく、水道水で洗えば十分です。少々の細菌が残存していても、化膿することはなく、その後の皮膚再生にも影響はないことが分かっています。次に、ガーゼをあてる・・・これによって傷口(創面)は乾燥してしまいます。創傷により、生体本来の自然治癒力が働き、傷ついた組織から浸出液が出てきて、血小板やマクロファージの活性化やグロースファクターの放出が起こるのですが、傷口が乾燥してしまっては、これらの治癒する力が働きません。この環境を保つためには、初期段階の創傷液を保持し、適度な湿潤環境を維持することが重要なことがわかってきました。

湿潤環境を保つ

それでは、創傷を早くきれいに治癒するためには、どうすればよいのでしょうか。原則まず傷口を流水で洗います。次いで、アルギン酸塩でできた創傷被覆材で創面を覆います。アルギン酸塩は、滲出液のある創面でゲル化し、自重の10~20倍の水分を吸収し、また極めて強力な止血作用を持っています。そして、ゲル化したアルギン酸塩が、初期の創面の乾燥を防ぎます。そうして、浸出液が少なくなってきた頃に、ハイドロコロイド被覆材で創面を覆い、創傷部を湿潤な環境に保つことにより、自然治癒を促進する環境を作り出します。擦過創や皮膚欠損層が上皮化すれば、治療は終了です 。

治療例

治療例1

治療例1

かさぶたをはがし、湿潤療法を1週間行なった。やや光沢のあるピンク色の上皮が形成されている。

「熱傷」の治療も、原則は創傷と同じ

熱傷の場合も、組織傷害性のある消毒などの薬剤は、一切使用しないことです。抗生剤入りの軟膏類も使用しないこと。乾燥を防ぐために、ワセリンか創傷被覆材を使用します。こうして、創面の乾燥を防ぎ、創面を湿潤に保ちます。Ⅱ度熱傷時におこる水疱は早期に除去し、創傷被覆材で覆います。浅いⅡ度熱傷であれば、1週間ほどで上皮化されます。抗生物質の経口投与は、初診時には行ないません。

当クリニックの外傷・熱傷治療のコンセプト

外傷・熱傷の治療に用いる当クリニックの包交車には、最もよく使う一番上の段には、消毒剤は乗っていません。そこの主役は、傷口を洗浄する生理食塩水縫合処置の器材3種類の創傷被覆材です。外傷の治療の大半を占める、外来で行なう程度の外傷は、ほとんどこれだけあれば十分です。傷の処置のために、濡れた綿球で傷の周囲などをこすったりしているのは、ほとんどが生理食塩水か水道水です。

当クリニックの外傷・熱傷治療のコンセプト
3種類の創傷被覆材

創傷の「湿潤療法」は、日本では夏井睦先生(なついキズとやけどのクリニック)が先駆けとなって普及した治療法です。
詳しくは、http://www.wound-treatment.jp/をご覧下さい。

外科を標榜している当クリニックでは、外来通院で治療できる創傷や熱傷の治療にも、理論に基づいた最新の処置を取り入れて行なっています。多くの方が創傷処置に対する正しい方法を理解されるよう願っております。

粉瘤(アテローム)・脂肪腫

粉瘤(アテローム)・脂肪腫

粉瘤(アテローム)・脂肪腫

粉瘤と脂肪腫は、皮膚にできる良性腫瘍です。脂肪腫は脂肪組織でできているもので、粉瘤は皮膚下に袋状の嚢胞(のうほう)ができ、そこに古い角質や皮脂が溜まったものです。

粉瘤は、アテロームとも呼ばれており、夏場によく発症します。自分で潰してしまうと炎症と感染を繰り返し、20cm以上にまで大きくなってしまう可能性があります。炎症による痛みもあります。

粉瘤は、体のどこにでもできる可能性があり、背中やお尻、指先、耳、首などが多くなっています。脂肪腫は背中、肩、お尻とその周辺にできる頻度が高くなっており、たくさんの脂肪腫ができてしまうケースもあります。

粉瘤(アテローム)・脂肪腫の治療

粉瘤と脂肪腫に関しては、できるだけ傷口を小さくするための皮膚切開術という外来手術を行います。
局所麻酔を行った上で、嚢胞(袋状)を丁寧に取り除きます。

なお、手術後は清潔を保ち、再び膿が溜まらないよう注意する必要があります。

通院について

創を確認するため、手術後2~3日以内にご来院いただく場合があります。その後は、1週間後にご来院いただき、創を確認して、特に問題がなければ、治療は終了です。

治療費について

粉瘤(アテローム)・脂肪腫の手術は健康保険適用の治療です。

治療費は、粉瘤・脂肪腫の大きさ・手術方法・治療箇所によって異なりますが、約4,000円~10,000円(3割負担の場合)が目安です。

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