医療法人社団 オリーブ会 いとう新検見川クリニック(胃腸科・外科・内科)
トップ 院長のご挨拶と紹介 診療内容 医療設備 診療案内・地図 経鼻胃内視鏡
乳腺外来 大腸内視鏡 外科処置・手術 検診・一般健康診断 人間ドック クリニック便り
Drヤスシのクリニック便り
当クリニックでは、皆様のお役に立つ情報などを「クリニック便り」 として定期的にお伝えしてまいりますので、お時間のあるときに 読んでみてください。
No.1 No.2 No.3 No.4 No.5 No.6 No.7 No.8 No.9 No.10
No.11   No.12   No.13   No.14   No.15   No.16   No.17   No.18   No.19   No.20
No.21   No.22   No.23   No.24   No.25   No.26   No.27   No.28   No.29   No.30
No.31   No.32   No.33   No.34   No.35   No.36   No.37   No.38   No.39   No.40      
No.1 平成18年11月15日
 10月10日にクリニックを開院して、1ヶ月が経ちました。開院初日に20名の新患の患者さんが来られ、現在まで300名を越す方々が来られました。開院当初は不慣れな院長、事務スタッフのため、不手際などでご迷惑をおかけしたこともあったと思いますが、徐々に診療、事務体制を整えておりますので、ご容赦の程お願いいたします。
11月9日までの1ヶ月間で、乳がん検診でマンモグラフィを撮影した件数は64件でした。通常の集団検診では、マンモグラフィ150件~200件に1名の乳がんが発見されると言われています。当院ではこの間、1名の乳がんが発見されました。腫瘍径は小さく早期の乳がんであり、適切な治療により根治される可能性が高いと考えます。今年の通常国会にて、「がん対策基本法」が成立しましたが、この法案でもがんの早期発見に重点をおく項目が記載されています。現在、がんと診断されてそのがんで生命を落とされる方は半数おられますが、言い換えれば半数は適切な治療で治癒されています。今後は、もっと早期発見が進んでいけば、治癒される比率も70、80%になっていくと思います。そのためには、がん検診の受診率の向上と検査精度の高さが必要になってきます。マンモグラフィ検診では、欧米の受診率70~80%に比べ、日本ではいまだ10%台という低さです。また、日本人に多い胃がんの検診も、内視鏡がつらい、といって精密検査を怠ることがしばしばあります。そういう意味では、比較的楽に検査が受けられる経鼻内視鏡は、胃がん検診の中では今後需要が高まっていくことと思います。当院では、開院1ヶ月で経鼻内視鏡は27件行いました。皆さんに感想を聞いていますが、ほとんどの方は楽にできた、と喜んでおられました。幸い、胃がんは発見されませんでしたが、治療を要する胃潰瘍、十二指腸潰瘍が数件あり、ピロリ菌の除菌療法等を行っています。
外科医として25年間やってきて、治ると確信できる症例は外科医の腕にも一層の力がみなぎるのですが、手に負えない・打つ手がないという症例にあたるときの無念な気持ち程、つらいものはありません。ましてや患者さんご本人の気持ちを察すると、言葉も出なくなってしまいます。こういうことが、一人でも少なくなるよう、がん検診の重要性について皆さんに考えていただきたいと思います。
また、一昔前には成人病といわれていた高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病に関しても、「沈黙の病気」といわれているように、症状が出ないまま放置されると、突然、心筋梗塞、脳梗塞などを発症してしまいます。気がついたらもう遅かった、では何とも悔やまれます。やはり、先手、先手で自分の体を守っていきたいものです。
最初から、やや硬いお話になってしまいましたが、今まで病院の勤務医としてやってきて、多くの患者さんに出会って、現在思っていることの一つとして今回述べさせていただきました。このお便りでは、普段ゆっくりお話できないような私のきままな気持ちや皆様に役立つ情報などを定期的に述べてまいりますので、時間のあるときに読んでみてください。
 
No.2 平成18年12月13日
 12月に入ると、朝晩は冷え込んでまいりました。例年初冬から12月のこの時期になると、感染性胃腸炎の患者さんが多くなります。感染性胃腸炎という診断名は様々な原因による症候群であり、主には細菌かウイルスによるものです。冬季に発生する感染性胃腸炎のほとんどはウイルスによるものです。原因ウイルスは、ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスなどが知られていますが、今年はノロウイルスを原因とする感染性胃腸炎が、過去25年で最大の流行となったことが、12月8日国立感染症研究所の調査で分かりました。例年、12月中旬から末に流行のピークを迎えますので、皆様一層の注意をしていてください。
クリニックも開院して2ヶ月が過ぎ、万全の体制が取れるように努力しています。経鼻内視鏡は毎日午前中2件できるようにしました。マンモグラフィも、女性レントゲン技師がいつでも撮れるような体制を検討中です。皆様により受診していただきやすいようにしていきたいと考えています。稲毛駅近くに乳腺・甲状腺クリニックとして診療されている川上診療所の川上義弘先生が、ホームページで私のことをご紹介してくださいました。川上先生のことは、千葉市内の女性ならご存知の方も多いと思います。その紹介文の中で、私が現在放映中のフジテレビ系ドラマ「Dr.コトー診療所」の医療監修をしていることについて触れられていました。それもあってか、診察中よく質問を受けます。私の担当は、ドラマの中の乳がんと胃がんに関連した医療指導でした。ドラマの中の台詞、医療用語、手術の際の器械の使い方や手の動きなどの監修です。撮影は深夜におよぶこともありましたが、すべての収録は無事終了しており、ドラマを見ている方は最終回に向けて楽しみにしていてください。医師とはどうあるべきか、どう患者と向かい合うべきか、という所も見所の1つになっています。また、患者やその家族としての心理、お互いのきずなも印象強く残ることと思います。
プライマリーケアというと少し耳慣れない言葉かもしれませんが、風邪や腹痛やけがなどの広く一般的な病気の診断をし初期診療をすることをいいますが、Dr.コトーは離島の診療所でまさにこのプライマリーケアを実践しています。(もっとも消化器外科、脳外科、胸部外科などのかなり難しい手術も何でもこなしてしまうのは、元々は漫画ですので実際にはないことですが。)プライマリーケアは、広い知識と経験が必要で、日本には日本プライマリーケア学会による専門医制度まであります。2004年から導入された新臨床研修制度もその目的は、「プライマリーケアの基本的な診療能力を修得すること」にあります。私が医師になった頃はこのような制度はなく、自分で勉強したり経験をつみながら覚えていくしかありませんでした。当直などの夜勤にはさまざまな患者さんが来ますので、いろいろな場面に対応できなくてはなりません。消化器、乳腺外科が専門でしたが、その一方で他の多くのことをこうして経験しながらやってきたことが、今の自分には力になっているように思います。Dr.コトーの医療指導をしながら、クリニックとして診療を行っている自分に照らし合わせて、ふとそのようなことを思っていました。乳腺疾患や消化器疾患を主に行いながら、さまざまな症状や訴えを持った患者さんのプライマリーケアとその後のフォローアップを行える医師としての自覚を、今後も持ち続けていかなければいけない、と思っております。
これからが、寒さも一段と厳しくなっていきます。皆様、お元気で年を越せられますように、健康管理には十分気をつけてください。次回は、年明けにご挨拶いたします。
 
No.3 平成19年1月19日
 新しい年がスタートし、皆様いかがお過ごしでしょうか。皆様それぞれの年末年始を送られて、新たな気持ちで新年を迎えられたことと思います。私は、病院勤務を離れて初めてのお正月を、のんびりと過ごしました。元旦に、「硫黄島からの手紙」という映画を観ました。第二次世界大戦で、終戦近くになって硫黄島の日本軍が、敗れると覚悟しながらアメリカ軍と壮絶な戦いをしたという映画ですが、戦争の悲惨さと人命の大切さを強烈にメッセージとして伝えている映画でした。国のために命を捧げなければならなかった時代にくらべ、今の日本はなんて平和なんだろうと、改めて思いました。平和な日本に感謝です。食糧から日常生活品にいたるまで、今日本になくて困るものはほとんどないと思います。又、自分でやりたいことがあれば、大抵の場合、やれる環境は整っています。そう思っていたのもつかの間、新年早々から暗い事件が続いてしまいました。飽食の今の時代、大切なものはなにかをもう一度考えて見直さなければいけない、などと自分で思っていました。娘と息子と一緒にこの映画を観たのですが、そんなことを感じとってくれればいいな、と思いました。
二日間かけて行われる箱根駅伝は、今や日本のお正月の国民的な行事になっているようです。選手達が一生懸命走る姿に、見ている側が共感して、何かを感じ取るのだと思います。沿道の人達は、参加校の選手全員に旗を振って応援しています。情熱をもって頑張っている姿に、自分を重ねようとしているのかもしれません。自分も今年一年頑張るぞ、と思いながら見ているのかもしれません。箱根駅伝が終わると、平常な生活に戻り、皆が新たな目標に向かっていくスタートをきるのでしょうか。どうか、皆様にとって有意義な一年でありますよう、お祈り申し上げます。
さて、私はというと、クリニック便りNo.2で述べさせていただいた、プライマリ・ケア医としての責務を果たすべく、診療に従事していこうと思います。クリニックで準備した医療機器でできうる疾患の診断と治療を行うとともに、病気の予防にも力を入れていきたいと思います。一口に予防といっても、その範囲は広く、疾患の発症予防を行う一次予防、疾患の無症状期における早期発見と早期治療を行う二次予防、さらに既存の疾患の合併症や再発・進展の予防、防止を行う三次予防があります。予防に関する医療を提供し、情報を皆様に発信し続けることも、医師の役割と考え診療にあたらせていただきたいと考えております。皆様とともに、心身ともに健康な生活を送れるよう、一緒に考えていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 
No.4 平成19年3月5日
 すでに3月に入り、今年の冬はあまり寒さを感じることなく過ぎようとしています。インフルエンザは2月初旬頃までは流行の兆しはなく、「このまま過ぎればいいけどね」、などと言っていたら、2月中旬位から急にここ新検見川の地域で流行りだしてしまいました。病院や診療所を廻っている医療関係の業者さんの話では、どうもお隣の幕張あたりではそれ程患者さんが出ていないようで、新検見川辺りが特に流行っているそうです。(こういう業者さんは、リアルタイムに情報を伝えてきます。) インフルエンザウイルスだけではなく、一般に冬の感冒の原因となっているのは、ほとんどがウイルスによるものといわれていて、低温・低湿な状態が感染を助長します。予防には、うがい・手洗いが基本ですが、室内の加湿も有効です。また、睡眠不足などによる免疫力の低下も感染の要因になります。暖冬とはいえ、皆様くれぐれもご注意ください。
毎年この時期やってくるスギ花粉症、最初の報告は1964年にされたそうで、約40年の間にわが国で激増したアレルギー疾患です。花粉症で生命を脅かされることはまずありませんが、日常生活に大いに支障をきたす厄介なものですね。私自身も数年程前から花粉症になり、花粉が飛び出すと敏感に鼻水、目のかゆみといった生体反応がおこります。困るのは、診察中に急にくしゃみ、鼻水がではじめることがあり、鼻水を隠すためにマスクを手放せません。病院の手術室は、外気を入れない陽圧環境になっており、病院勤務の頃はこの時期手術室に入ると、花粉症の症状がピタリととまって快適だったことを、思い出します。花粉症の方、おだいじに。
先月の2月8日の午後、当クリニックにて、医療講座「マンモグラフィによる乳がん検診」を行いました。18名の参加者がおられ、普段置いてある12脚の椅子のほかにクリニックにある限りの椅子を持ち出し、広いとはいえない待合室で皆様詰めあって、約40分の間、講演を聴いていただきました。病院勤務の頃も、月に1回程、乳がん検診の啓蒙活動として、近くの公民館や婦人会の集まりに出向いて、講演していました。多いときは100名程の時もあり、少ない時は3名の方と個人面談のようにやらせていただいたこともありました。私の医療講座を聴いて、実際に乳がん検診に病院を訪ねて来られ、早期の乳がんが見つかり、手術をされた方も何名かいます。もちろん、乳がん検診をして何も異常がなければ、「良かったですね、安心してください。」とお伝えして、こられた方も、ほっとして帰れるわけで、それに越したことはありません。クリニックでの診療になったこれからも、地域の皆様に、乳がん検診の重要性について発信していきたいと考えております。皆様、お時間がありましたら、一度是非聴いてみてください。次回は、4月15日、日曜日の午前
11時を予定しております。
 
No.5 平成19年5月7日
 お天気に恵まれた今年のゴールデンウィーク、皆様思い思いの過ごされ方をしたことと思います。新年度になって約1ヶ月が過ぎ、仕事や勉学、育児や子供の教育などと、何かと心身ともに疲れが溜まってくる頃であり、ここらで一息入れて気分転換することも大切です。当クリニックでは、現在ひと月に40件程の上部内視鏡を行っていますが、3月から4月にかけて多かったのは、胃や十二指腸の潰瘍性病変でした。すでに、「ピロリ菌の最新事情」でお話しましたように、胃・十二指腸潰瘍の主役はピロリ菌であることが分かっていますが、ピロリ菌感染に加えて、心身にストレスがかかると、潰瘍が発症しやすくなります。事実、潰瘍が見つかった方々の80~90%にピロリ菌感染が認められ、よく問診して伺うと、さまざまな事情で過労や睡眠不足になっておられるようです。しかも、年代は20才代から30才代の若年層に多いのが特徴です。3月、4月と、年度の切り替わりの時期に、多忙だったり神経を使うことが多いのではないでしょうか。皆様のご自分のペースで、生活のリズムを作っていかれるようにして下さい。
昨年6月に制定された「がん対策基本法」が、本年4月から施行されています。日本のがん対策に関する基本的な事項が、法律として条文化されています。ちなみに、その第6条には「国民は、必要に応じ、がん検診を受けるよう努めなければならない。」の一文があり、がん検診の重要性を示しています。現在、日本の行政検診の対象となる5つのがん(胃がん、大腸がん、乳がん、肺がん、子宮がん)の平均受診率は17%だそうで、がん死を減少させるための目標となる検診受診率の70%には、遠く及んでいません。わが国のがん検診は一般財源化されていて、市町村の財政事情はきびしい状況でありますが、受診率の向上のためには、行政と医療関係者による国民一人ひとりへの地道な意識改革が必要と思われます。生活習慣の改善に伴うがんの予防も、がんの罹患率の減少には欠くことのできないことですが、がんになっても死なないようにする、すなわち「がんの早期発見」のために、皆様に是非ともがん検診について、よく考えていただきたいと思います。昨今、がん保険というものが人気があるようですが、もしもの備えも重要と思いますが、がん保険には入っているけれど、がん検診は受けていない、なんてことがあったら、本末転倒になってしまいます。また、がん検診を受けることにより、ご自分の健康管理に関する意識が変わってくるという、相乗効果もあります。これまで、ほとんどがん検診は受けてこなかったという方、今年から定期的な受診をしてみませんか。
当クリニックも、昨年10月の開院以来半年が過ぎました。4月末までに、上部内視鏡検査233名、下部内視鏡検査45名、マンモグラフィ検査256名の方に受けていただきました。がん検診に関しては、今後ともできる限り皆様に受けていただきやすいように、日時の調整等をしていこうと思っています。また、質の高い検診を実践するための精度管理には、学会への参加など、常に最新の医療情報を得られるようにしていかなければいけないと考えております。学会参加による休診がしばしばあるかと思いますが、ご容赦の程お願いいたします。
 
No.6 平成19年8月9日
 自民党の大敗に終わった今回の参院選。「年金問題」や「政治とカネ」のことが、その大きな要因だったことが報じられています。確かにそれもそうでしょうが、この結果は多くの人達の胸の内にあった、いろいろな不満や不安が積もり積もってのことだったと思います。参院選ではほとんど報道されていませんでしたが、国が推進している医療費抑制政策は、日本の医療を極めて深刻な方向へ向かおうとさせています。患者さんの窓口負担率は先進諸国と比べて突出した高さとなっています。また、療養病床の削減やリハビリの日数制限といった高齢者に厳しい政策に加え、来年度からの新高齢者医療制度では、70~75歳の窓口負担が1割から2割に増えるなど高齢者の負担が増える内容ばかりです。10年ほど前、イギリスでは医療費抑制政策が行われた結果、医療を受けられない人が増加し社会問題となって、2000年から医療費抑制政策をやめました。医療や福祉、教育などは、いかなる時代であっても最も優先されるべき政策の1つであり、今回の選挙で、医療政策を含めこれまでの国の政策に国民が「ノー」と言ったのではないでしょうか。誰もが費用の心配なく安心して医療が受けられるよう、国は責任を持って財源を増やすべきと考えます。

 この8月より当クリニックでは、なかなか健康診断を受ける機会がない、といった方を対象にした人間ドックを始めました。内視鏡で行う胃がん検診をはじめとして、大腸がん、肺がん、(女性の場合は、乳がん、子宮がん)等のがん検診を行い、高血圧・高脂血症・糖尿病などの生活習慣病のチェックを行います。動脈硬化は、眼底検査で細動脈の状態を判定します。実は、人間ドックの導入に際して、眼底検査が最も苦労しました。キャノンの眼底カメラを購入、眼底写真の撮影の猛特訓、撮影された写真を眼科医に診てもらうための交渉、といろいろありました。これを可能として、かなり充実した内容となりました。朝の8時30分、腹部エコー、胃内視鏡から開始し、11時頃には終了します。1日1名限定です。終わってから、おいしい昼食を食べて、午後からまたお仕事などに気持ちよく頑張ってみてはどうですか。(昼食は出ませんので、お間違いなく・・・)ご負担の料金は、できる限り低めにしました。お勤めの方などは、加入している健康保険組合から補助金が出る場合がありますので、問い合わせてみてください。ご関心のある方は、内容を記載したパンフレットがありますので、受付にお尋ねください。この人間ドック、トップバッターとして、私自身が受けてみました。(もっとも、胃カメラだけは自分ではできませんが。)自分の健康状態を知る良い機会となりました。

 夏らしい暑い日が続いています。皆様、夏という季節を気持ちよく感じながら、元気にお過ごしください。

 
No.7 平成19年10月10日
 昨年の10月10日に開院して以来、早いもので1年が経ちました。ずっと病院勤めだった私ではありましたが、クリニックの診療も今までの延長にありましたので、診療面では自然に移行することができました。ただ、医療事務に関することはほとんど知りませんでしたので、初めは診療報酬の本を傍らに置きながら細かな保険診療の数字と格闘する日々が続きました。開院時に集まった受付、医療事務のスタッフ5名も、経験者もいればまったく未経験の人もいて、私と同様かなり冷や汗の出る思いをしていたようです。ただ、使用している電子カルテとレセプトコンピューターは、間違った入力をするとチェックされる機能があり、また電子カルテの会社のインストラクターがいつでも待機していて分からないことに応じてくれるため、大いに助かりました。その事務スタッフも1名も辞めることなく、現在ではキーボードの入力が随分と軽やかに響いているのが、診察室から聞こえています。
当初、週に1日しか勤務できなかった女性のマンモグラフィ撮影の認定放射線技師が、週4日来てくれることになりました。彼女は、私が病院勤務の時にマンモグラフィをとってもきれいに撮ってくれていた技師で、現在は当クリニックや乳腺で有名な稲毛の川上診療所などに勤務しています。マンモグラフィ検診で最も重要な作業の1つは、あるかもしれない病変をいかに映し出すかにあります。マンモグラフィは、適正な乳房のポジショニングと圧迫する力、適度なレントゲン線量によって、きれいな写真が撮れるわけで、病変部が映し出されていなければ、いくら目を皿のようにしてみても見つからないわけです。当院で1年間に乳がん検診を受けられた方は、560名でした。発見乳がんは8名であり、発見率1.43 %でした。乳がん検診のがん発見率は、一般的には 0.4~0.5 % と言われており、当院ではかなり高い発見率になっています。高い精度であることの他に、初回受診者が多かったことと、有症状受診が含まれていることもその要因と思われます。
途中から加わったスタッフとしては、看護師が1名、臨床検査技師が1名います。看護師は、東京の病院で5年間消化器外科病棟に勤務していた経験があり、消化器関係に詳しいです。外来経験はありませんでしたが、すぐ慣れてやってもらっています。臨床検査技師は、健診や人間ドックの勤務の経験があり、当院でも、採血・心電図・眼底カメラなどの検査をてきぱきとこなしています。他に、抗がん剤治療のある日は、抗がん剤の処置に慣れた看護師が週1日来てくれています。
最も多く来られている疾患は、消化器関連です。1年間の内視鏡件数は、上部471件、下部 76件でした。多くの良性疾患の他に、胃がん・大腸がんや肝臓がん・すい臓がんの患者様がおられました。早期に発見された方も多く、乳がんの方も含めてご紹介先の中核病院で治療に専念して回復されることを祈っております。
スタッフも充実してきて、私としては大変心強く感じながら、診療にあたれるようになりました。でも、浅学非才な私が、若い力や進歩している医学に置いていかれることのないように、日々勉強していかなければいけないと、気を引き締めていこうと思っています。
 
No.8 平成19年12月18日
 今年も残りあと少しとなり、この1年間はどんな年だったかなあ、とそれとなく想いをめぐらせる頃となりました。楽しかったこと、つらかった出来事、皆さんそれぞれ胸に秘める想いがあることと思います。また、仕事や育児、勉学など、皆さんが精一杯のことをされてきたと思います。でも、頑張りすぎて無理をしてしまうと、体のどこかに破綻が来ることがあるので、注意が必要です。よく、自律神経という言葉を聞かれると思いますが、これは活動する神経である交感神経と、休息する神経である副交感神経のことで、この両者がバランスよく働いて、体調が維持されています。それが、無理をしたり、緊張や疲労が続いたりすることにより、自律神経のバランスが崩れて、思わぬ症状がでてくることがあります。免疫力の低下から、病気が発症することもあります。私が関わっている診療科である胃腸も、この自律神経に極めて深く関わっており、何らかの原因により自律神経のバランスが失われて、吐き気、腹痛、下痢、腹鳴、腹部膨満感、食道のつかえ感等が起こることがあります。ストレスから起こる胃潰瘍はその代表的なものですが、検査をしても何の器質的な疾患も見つからないことがあります。がんや潰瘍などの器質的疾患が除外されたら、次に機能的疾患を考慮し、その要因を探り出すことになります。最近の研究では、白血球分画のうちの顆粒球とリンパ球の比率が、交感神経優位か副交感神経優位かを反映することが分かってきて、私も時折そのデータを参考にすることがあります。一方、休息する神経である副交感神経ばかりが優位に働いていても、体調を崩すことがあるので、適度な刺激が必要です。どうか皆様、うまく緩急を使い分けて、日常生活を送ってください。

 千葉県庁の近くに「Qiball(きぼーる)」という科学館が、今年10月にできたのをご存知ですか。その中にプラネタリウムがあり、どうも1000万個を越す星が投影されているということで、早速行ってきました。私は、1986年のハレー彗星の接近、2001年のしし座流星群の出現など、話題になる宇宙ショーがあると、夜を徹して見に行くいわば「しろうと・野次馬天文家」です。そのプラネタリウム、わずか45分の投影ですが、満天の星もさることながら、ナレーションのお姉さんの声と、癒される音楽で、半分は寝入ってしまいました。その3週間後、タイトルの違うプラネタリウム投影に再度行ったのですが、またまた寝てしまいました。寝入って見逃したというよりも、とってもいい気持ちになって帰ってきましたので、それなりに入った甲斐はあったかな、などとひとり思っていました。私にとっては気の安らぐ場所となりました。

 本年最後のクリニック便りとなりました。皆様、あわただしく感じる年の瀬ではありますが、1年間精一杯やってきたのですから、年末年始はできるだけゆっくりとお過ごしください。そして、新たな活力をもって、新年をお迎え下さい 。

 
No.9 平成20年2月18日
 2008年4月1日から、これまでの基本健康診査に変わってメタボリックシンドロームに焦点を当てた「特定健診・保健指導」(通称メタボ健診)が始まります。その目的は、糖尿病・高血圧・高脂血症などの生活習慣病のリスクを持つ受診者を選び出し、保健指導を行うことにより生活習慣病の予防に結びつけようというものです。確かに、生活習慣病は適切な治療がなされなければ、心筋梗塞・脳梗塞等の発症にもつながるため、その予防は中高齢者の健康の維持には欠かせない重要なテーマではあるのですが、今回の健診の基準設定を見ると、「これでいいの?」と思ってしまいます。保健指導となる対象者の前提条件は、腹囲かBMIが規定値を超えていて、これに血糖、脂質、血圧、喫煙のリスクが加わった場合なのですが、その腹囲が男性85cm以上、女性90cm以上となっています。すでにメディアでも取り上げられていましたが、男性の腹囲85cmと言うのはごく平均的な数値であり、保健指導の対象者が続出してしまうと思われます。これでは、健常者を保健医療に巻き込んでしまいかねません。男性のズボン服売り場だって、腹囲85cmあたりが一番品揃えが多いですよね。また、女性の90cmはいかにも高すぎ、80cm以上くらいが妥当と国際糖尿病連合が、昨年言っていました。国際的にも、女性の方が腹囲の基準が高いのは、日本だけになってしまいます。こちらは逆に、リスクのある女性を見落としかねないことになってしまいます。健常者が対象の健診(がん検診も含め)では、受診することによる健康への利益が、不利益を大きく上回らなければ、質の良い健診とはいえず、そのためそれぞれの健診の有効性は、十分議論されないといけません。今回の特定健診は4月からスタートすることがすでに決定していますので、当院としてもまずは取り組んでいきますが、現場での状況を肌で感じて、問題解決のための意見を出していくことが医師の役割と思って、やっていきます。

 開院以来の乳がん検診受診者は、現在900名を越えました。マンモグラフィの精度管理には、十分な時間をかけて行わなければいけません。当院の放射線技師が、毎朝ファントムという乳がんに見立てたいくつかの微小な模型のようなものをフィルムに写して、写るべきものが撮影されているかのチェックをしてくれています。昨年に撮影したマンモグラフィのフィルムをマンモグラフィ検診精度管理中央委員会に提出し、検診マンモグラフィとして適切であるとの評価を得て、本年2月にマンモグラフィ画像認定施設としての施設認定を受けました。花見川区では、初めての認定医療機関となりました。今後も、私や放射線技師が中心となり精度管理の維持に努めていくことをスタッフ一同心がけていこうと思っています。

 今年は、なんだか例年の冬に比べてとても寒く感じるような気がします。でもきっと、以前寒かったことは忘れて、「今年は寒い」と言っているのかもしれません。2月も後半となり、あと1ヶ月もすれば、桜のたよりも聞ける時期になりますね。日本人は皆、桜が咲く頃の春に対する共通の想いがあると思います。皆さん、楽しみにして春を待ちましょう。

 
No.10 平成20年4月10日
 3月下旬、家族で石垣島と西表島に行く機会を得ました。沖縄本島のさらに南、台湾のすぐ近く、こんな南の島も日本の中なんだ、とあらためて知りました。気温は25℃程で、初夏のような陽気でした。今回の旅行は娘がすべて計画し、私や妻は自分の荷物の用意だけして出発。若い娘のハードなスケジュールにふーふー言いながらも、珊瑚礁で敷きつめられた透き通るような海でのシュノーケリングと西表島での亜熱帯の原生林(マングローブ)のなかを行くトレッキングをやってきました。ファインディング・ニモでおなじみのカクレクマノミにもまじかで出会い、天然記念物のカンムリワシもおでまし。不思議な形をした原生林も、印象強いものでした。自然に接することを目的としたわずか2泊3日の旅行でしたが、心地良いひとときでした。自然と触れ合うことによって得られる新鮮な力を実感しつつ、また日常の診療を行なっています。

 「チーム・バチスタの栄光」という医学ミステリー小説を読みました。2006年「このミステリーがすごい」の大賞を受賞、すでに映画化もされ、マスコミにも取り上げられていましたので、ご存知の方も多いと思います。連続して起こる謎の術中死、医療過誤か殺人か。テンポの良い展開で、キャラの立つ人物設定、それでいてスリリングでリアルな医療現場の描写と、夜はソファでうたた寝をきめこむ私ですが、それを忘れて一気に読んでしまいました。この小説の作者、海堂尊はペンネームですが、現役の勤務医であり、私と同じ千葉大学出身で、外科医(彼は第1外科、私は第2外科)です。小説の中に出てくる、「市内で一番標高が高い、小高い丘に建つ大学病院」の表現は、まさに亥鼻山の千葉大学病院を連想してしまいます。また、チーム・バチスタの所属する臓器統御外科という名称も、作者の出身である第1外科は現在、臓器制御外科とよばれており、大いにそれを意識していることと思われます。大学病院の現状、医療訴訟の問題にも触れており、単なるミステリー小説とはいえないところが感心させられました。関心のある方は、読んでみてはいかがですか。映画も観たのですが、こちらは★★★☆☆位でした。余談ですが、映画やテレビになったあの「白い巨塔」(山崎豊子作)、舞台となったのは千葉大学だったという話は、ご存知でしたか。

 当クリニックも開院以来、1年半が経ちました。内視鏡検査が、すでに1000件を超えました(上部:861件、下部:153件)。毎朝のこととなった1件目の検査終了後、「すぐ洗浄して」という私の声に、スタッフも悲鳴をあげながらも、せっせとスコープの洗浄に入っています。午前9時の診療開始前に上部2件を行ないますので、検査終了後には朝食を食べて、それから会社やご家庭のお仕事ができ、1日を有効に使うことができると思います。乳がん検診者は1100名を超え、マンモグラフィとエコーの精度管理に益々努めていく責務を感じています。開院以来、乳がん検診の予約枠を徐々に増やしており、日本で増えている乳がんの早期発見のために、多くの方に受診していただければと思っています。

 
No.11 平成20年6月25日
 今年4月から始まった後期高齢者医療制度、新聞やテレビで毎日のように取り上げられています。はじめは複雑で良く分からなかったこの制度も、これだけマスコミで報道されると、その制度のいろいろな面が見えてきました。その成り立ちを見てみると、健康保険、なかでも財政が極めて厳しい状況になっている国民健康保険を守るために、リスクの高い75歳以上の高齢者を切り離してしまった、というのがこの制度の発端のようです。さらに、高齢者医療を地方自治体に押し付けようとしている意図があります。国の医療に対する姿勢は、医療費適正化計画の名の下、医療費の抑制・削減を図って行くことにあり、後期高齢者医療制度もその一環として生まれました。この制度に多くの批判が集まっていますが、当然ではないでしょうか。そもそも保険というものは、リスクの高い人と低い人が一緒に加入して、リスクを分散させるのが本来のやり方です。ましてや、これまで日本を支え育ててくださった高齢者を分けてしまうとは、とんでもない話でしょう。国や現役世代が皆で高齢者を支え、安心して過ごしてください、というのが筋というものです。今後、75歳以上の人口はさらに増えていきますが、高齢者自身が負担する保険料も増大することになります。すべては、財政再建のために医療が犠牲となって医療費が抑制されたための結果である、といっても過言ではありません。2年前に、医療制度改革法案として国会で可決通過してから、ほとんどその詳細に関する試案も知らされず、国民への説明もなかったと思います。もっと、学識者や当事者である高齢者自身の意見を広く取り入れていれば、いざ施行してしまってから、いろいろな問題が起こることはなったことでしょう。法律を作る日本の為政者の方に、もっと国民の健康を大事にしてもらいたいです。

 先日の5月29日、千葉乳がん診療地域連携協議会が発足しました。その目的は、乳がんの地域連携をさらに普及させて、診断から治療、さらに術後の経過観察までを地域が一体となってみていこうというものです。例えば、乳がんの診断となった患者さんを、すみやかに県がんセンターなどの基幹病院で手術し、術後は患者さんの地元でガイドラインにそった治療と経過観察をしていこうというようなことです。この協議会は、千葉県がんセンターの山本尚人先生が中心となって代表世話人をされており、私も世話人をすることになりました。術後経過観察をしていく患者さんが、不安なく通院できるためには、術後の長期にわたるホルモン治療や再発の有無の検査を、エビデンスに基づいた最新の知見を元に過不足なく行なうことが重要になります。協議会発足時にも、術後経過の検査のガイドライン作りに最も多くの時間を費やしました。現在、私のクリニックには約60名の乳がんの術後患者さん(数名は手術されていない方もおられる)が来られています。皆さんとっても明るく、元気に来院されています。そういう触れ合いが、私自身の原動力にもなっています。今後も、千葉県の乳がん診療の発展向上のため、微力ながら尽くしていきたいと思います。

 
No.12 平成20年8月21日
 当クリニックで行なっている上部内視鏡の検査件数が、開院以来1年8ヶ月の去る6月中旬に1,000件を超えました。朝9時からの診療前に、2名の上部内視鏡を行なっているのが、今では日課になっています。ただ、この定時検査だけでは今の件数にならず、臨時の検査が約250件程行なわれました。「胃が痛い」という患者さんに、「では、検査の予約の空いている2週後にやりましょう」というのはいかにも遅く、クリニックなりの機動力を生かして、なるべく早めにやれるようにしています。そのために、昼過ぎや夜に行ったりもしています。
内視鏡検査で重要なことは、3つのことに尽きる、といつも肝に銘じてやっています。
①高い精度
  なんといっても、正確で精度の高い診断をすることです。見落としは、決してないように。そのために重要なことは、「集中力」と思っています。(乳がん検診のマンモグラフィやエコーの読影と似たところがあります。)3ミリの病変は、通常は見えます。経鼻内視鏡の利点を生かして、患者さんにも、病変部から正常部までをライブでモニターで見てもらっています。2割ほどの患者さんは、終始目を閉じていて、私が一方的に話している、という光景になっていますが・・・。また、各部位の撮影の他、動画をDVDレコーダーのハードディスクに録画しており、後からも確認できるようにしています。
②安全な検査
  内視鏡検査は、時として偶発症が起こりえます。これを極力なくすこと。そして、感染対策は、万全を期すこと。これまで、ごく軽度の鼻出血がありましたが、軽い圧迫で止まる程度でした。また、内視鏡の洗浄・消毒は、全例が感染症ありとの考えで、ガイドラインに基づいた方法で理論上では感染は起こり得ない体制で行っています。特に危険な生検かん子は、オートクレーブで完全滅菌しています。
③苦痛のない検査
  「経鼻内視鏡でやれば必ず楽にできるのか」、と問われれば、残念ながら「ノー」というしかありません。鼻の麻酔、咽頭の通過方法など、少しずつ変えてきましたが、どうしても「鼻が痛かった」「のどの反射がつらかった」という患者さんが、1~2割はおられます。また、鼻が狭く、経鼻挿入が困難なケースが、20名に1例程はあります。経鼻内視鏡で良かった、と言ってもらえるのは、全体の8割くらいと思っています。これでもつらい方は、静脈麻酔を使って眠っている間に行なう内視鏡検査を行なっている施設もありますので、そちらをお勧めします。
 これまでに、食道がん、胃がん等の悪性疾患は、8例見つかっており、すでに基幹病院で治療にあたられました。ご回復を祈っております。また、多数の胃潰瘍、十二指腸潰瘍の患者さんは、ほとんどがピロリ菌の除菌治療を済ませております。 鼻腔の挿入は自分なりにパターン化してきましたが、鼻腔の形は各人少しずつ違いがあり、各患者さんごとに新鮮な気持ちでやっています。いつかまた、2,000件に達した時に、何らかのご報告をしたいと思います。
 
No.13 平成20年10月14日
 2006年10月の開院以来、ちょうど2年が経過しました。毎朝、クリニックを開けて医療機器やパソコンの電源をすべて立ち上げ、すぐに内視鏡の準備、そして内視鏡介助のスタッフとともに朝一番の胃カメラ検査の患者さんをお待ちする、そんな朝が1日の始まりです。そして、朝9時までに2件の胃カメラを終了し、さあ午前の診療の開始とばかりに、さらに気合を入れています。その頃には、他のスタッフもそれぞれの準備を整え、あるいはすでに検査を始めていたりします。診療時間内には、乳がん検診、外傷の処置、慢性内科疾患、さらには腹部エコー検査、特定健診の検査など、さまざまな患者さんがいらっしゃり、各スタッフがその持ち場で頑張ってくれています。それぞれの患者さんの症状や訴えは少しずつ違っているわけで、少ない時間で正確な診断や的確な処置ができるよう、日々の研鑽が大切と皆を励ましています。
さて、この2年間に行なった主な検査や手術の件数と結果の一部を呈示いたします。
 
  【検査】   【件数】 【発見がん症例】    
上部内視鏡 1,206件 食道がん、胃がん・・・・・ 10例
下部内視鏡 215件 大腸がん・・・・・・・・・ 11例
腹部エコー 910件 肝臓がん、 膵臓がん等・・・ 8例
マンモグラフィ 1,697件 乳がん・・・・・・・・・・ 25例
  (乳腺エコー) 1,745件    
  (細胞診、針生検) 168件    
  【手術】 【件数】
急性疾患(外傷の縫合処置、等) 170件
待機的手術(良性の乳腺腫瘍摘出、 粉瘤摘出、等) 64件
 

 もちろん、「がん」を見つけることばかりが目的ではなく、症状をきたす良性疾患の多くも検査をして見つかるケースが多々あります。問診や身体の診察(触診や聴打診)から得られる情報(理学的所見)は、大変重要ではありますが限界もあり、消化器や乳腺の診療には、やはり内視鏡や画像診断が欠かせません。今後も、ためらうことなく必要な検査は即時行なっていこうと思います。よく、待合室には患者さんが待たれているのに、診察室には誰もおらず、し~んと時が10分、20分と過ぎていることがあります。この場合のほとんどは、奥の部屋で急性疾患の患者さんの診察か検査をしているか、急な外傷の患者さんの縫合処置をしています。待たれている皆様には申し訳なく常々思っておりますが、目の前の急性の患者さんの解決なしには前に進めず、ご容赦のほどをお願いいたします。

大きな総合病院に行かずとも、当院でできる外来通院での治療や検査は、身近なクリニックでも病院と同様にできるよう、これからも努めていこうと思っています。
 
No.14 平成20年12月17日
 早いもので今年も師走を迎え、寒さが身にしみる時期となりました。今年は、当院では12月11日に最初のインフルエンザ患者さんが発生し、ニュースでも報道されているように、例年より早いインフルエンザの流行のきざしがあります。この時期になると、この1年はどうだったかな、と想いを馳せるのが常ですが、世界の金融危機から波及した雇用問題や食の安全のことなど、どうも世情が不安定なようで、日本の1年ということを考えると、今後のことが心配になってしまいますね。医療界も、地方病院の医師不足や病院閉鎖など、医療費抑制政策などのつけがいろいろな面で出てきた1年でした。さて、クリニックの1年はどうだったかというと、微力ながら地域医療の一端を担うべく、スタッフ皆がよく頑張ってくれたと思っています。早朝の内視鏡に始まり、夜の乳房細胞診などで夜遅くまで皆よく手伝ってもらいました。また、検査件数が増えたため、検査の正確さと同時に、検査時間のスピードアップも必要でしたが、各人の工夫やスキルの向上により、精度の高い検査が行なえるようになりました。事務作業の増加もあって、電子カルテの端末を2台から4台に増やし、患者さんに少しでも待ち時間が少なくなるようにしました。それでも、診療中に行なっている検査の正確さを期するために、どうしても時間がかかってしまうこともあり、お待ちの患者さんには申し訳なく思っています。また、今年は当院に救急車が2回来て、患者さんが搬入されてきました。いずれも、診療が終わり休憩していたときに、救急隊からの要請の連絡が入ったものでした。診断がついた後、しかるべき病院にさらに転送しました。小さなクリニックですが、それなりの機動力もあり、また医療にたずさわるものとしての自覚がスタッフ皆に浸透されてきたという実感をもった1年であり、今後も少しでも地域医療のお役にたてるように頑張っていきたいと思います。

 JR新検見川駅、幕張駅、幕張本郷駅周辺で開業している医師の集まりである、幕張地区医師会なるものがあるのですが、2ヶ月に1回ほど集まって、夕食をともにしています。参加者は年輩の先生が多いのですが、その先生たちからいろいろと学ぶことも多く、できるだけ出席するようにしています。先月11月の日曜日は、十何年かぶりのゴルフコンペだということで、「先生のような若い先生も参加して。」と言われ、私の歳を勘違いされているのかな、と思いながら、参加してきました。参加してみると、私が一番年下でした。しかし、皆さんゴルフが上手でプレーも若々しく、最後の成績発表では、私の名前ははるか下の方でした。年輩の先生方皆さん、健康づくりにはそれぞれの秘訣があるようで感心させられたゴルフとなりました。そういえば、今年は大学時代の同級生4人(皆、病院の勤務医か開業医ですが)から、「胃カメラやってくれないか。」と連絡が入り、「よし、すぐやろう」ということで、当院にやってきました。症状はあるものの、幸い大事には至っておらず、ほっとして帰っていきました。自分も、健康には気をつけないといけない、と今更ながら考え直すこの頃でした。

 皆様のご健康を祈りつつ、来年もクリニックで元気にやっていこうと思います。
皆様、どうぞ良いお年をお迎えください。

 
No.15 平成21年2月20日

 春一番の吹く暖かい日もあり、少しずつ春の足音が聞こえてくるこの頃です。今年から週3回くらいはジョギングをしようと、正月から1ヶ月ほどはやっていましたが、2月に入って急にペースダウンしてしまい、現在は日曜と祝日だけ走っています。どうしてジョギングをはじめたか? どうせ長続きはしないのでは・・・。その成果が出たかどうか、それは次回のクリニック便りでご報告しようと思います。いずれにしても、体を動かすことは心身のリフレッシュに最も効果的であり、食欲も増進します。胃腸が不調の方、是非運動を取り入れて下さい。胃腸科の医者いらずになるかもしれません・・・。

疾病の発症を予防する1次予防の1つに、私が当クリニックで力を入れているピロリ菌の除菌があります。1994年に国際がん研究機関(IARC)が、ピロリ菌は明らかな発がん因子としました。その後、ピロリ菌の除菌が胃がん発症を予防することを実証する論文が長らく出ませんでしたが、2008年8月、ピロリ菌を除菌することによって胃がん発症のリスクが有意に下がったとする臨床試験の結果が、世界的科学雑誌「ランセット誌」に日本人によって発表されました。その発表もあってか、本年1月23日、ヘリコバクター学会が、ピロリ菌に感染している場合は、「ピロリ菌感染症」として、ピロリ菌感染のある人すべてに、ピロリ菌の除菌を推奨するという、新しいガイドラインを発表しました。胃潰瘍・十二指腸潰瘍以外でもピロリ菌除菌の保険適用が認められるようになるかは今後の課題ですが、ピロリ菌の感染率の低下により、日本人の胃がんの罹患率が著減していくことが切に望まれます。

疾病の1次予防で、もうひとつ忘れてはならないのは、禁煙です。喫煙は、がんのみならず動脈硬化に伴って起こる心疾患、脳卒中の要因に大きく関連しているのは明らかで、禁煙によりそれらのリスクは著明に低下します。また、喫煙者と同居する人のいわゆる受動喫煙も健康に多大な影響があることが分かっていますので、非喫煙者でも喫煙者と同居されている方は、注意が必要です。日本の諸学会による禁煙推進のための保険給付の要望により、2006年4月から禁煙治療が保険適用されることになりました。私の所属する日本癌学会、日本消化器外科学会でも禁煙推進のための活動を行なっております。この観点より、当院でも禁煙の必要性を重要視し、禁煙外来(ニコチン依存管理)の施設基準を取っており、保険診療による禁煙を強くおすすめしています。禁煙への取り組みは、一部の医療関係者にとどまるべきではなく、広く禁煙治療が受けられる環境を作っていくべきと考えています。喫煙は、「百害あって一利なし」です。喫煙されている方、是非今年は禁煙の年にしてみませんか。

インフルエンザや感染性胃腸炎などは、その時はつらい症状で大変ですが、そのほとんどは自然と治る疾患です。一方、20年・30年と経つにつれて徐々に体に異変をきたすことが分かっているものがあり、ピロリ菌や喫煙がそれにあたります。病気を治すのは医師の仕事ではありますが、病気を予防するために適切な情報を提供するのも医師の務めと思います。そして、そうした病気の予防のために実行するかどうかは、皆さんの意志によるものです。
当クリニックでも、適切な情報を随時発信していきたいと考えています。
 
No.16 平成21年4月23日

 春のおだやかな時期、気候は今頃が一番過ごしやすい時ですね。新年度になって、すでに新たな思いで仕事や勉強に、希望に満ちて取り組んでおられる方も多いことと思います。新年度を4月に決めたのは、誰だか知りませんが、何かを始めようとするのにもってこいの良い季節です。私は、年度の変わり目に、最近小旅行をすることにしています。ひととき仕事から離れて、新年度に向けて気分一新というところでしょうか。今年は、屋久島に行ってきました。そうです、あの縄文杉に会いに行ってきました。登山口からトロッコ道と山道を歩くこと、全行程約10時間、22kmの道のりでした。標高差は約700m。早朝の6時に登山口を出発。始めのうちこそ、ガイドさんの話や「もののけの森」のような神秘的な景色を楽しむ余裕があったのですが、3時間ほども経つと、少しずつ息が上がってきて、足元を見つめてひたすら急な階段や岩を登っていきました。そして、ついに縄文杉にご対面できた時の爽快さは、格別のものでした。山の神様に会っているような、神々しさも感じました。家族で記念写真を撮るのもつかの間、縄文杉に別れを告げて、気合を入れなおして下山を始めました。帰りはいろいろな屋久杉を見ながら、途中までは足取りも軽く下りてきましたが、下りは足に負担がかかり、またじわじわと溜まってくる疲労感のため、最後の4kmはとても長く感じました。はじめは家族の先頭をきっていたのですが、最後の頃は小学生の息子から遅れること遥か後方を歩いていました。夕刻に登山口に帰り着いたときには、足がパンパンに張っていましたが、とにかく何とかやり遂げたという充実感で、自分なりに満足していました。今年から、時間のあるときには家の近くでジョギングをはじめました、と前号のクリニック便りで触れましたが、屋久島登山に一抹の不安があったための準備でした。短期間の準備が効を奏したかは、分かりませんが、何とか目的を達成することができました。日頃の体の鍛錬が大事なことを、身をもって改めて知った小旅行でした。

 この4月に、待合い室に自動血圧測定器を置くようにしました。現在、わが国における高血圧患者は3,500万人と推定されており、高血圧に基づく脳卒中や虚血性心疾患は、重大な後遺症をもたらしたり生活の質の低下につながるため、血圧の管理は医療上ならびに社会的にも大変重要といえます。来院時に測定した場合に、高血圧症かどうかの目安になるのは、140/90mmHgです(家庭血圧では、135/85mmHgが目安とされています)。来院された後、5~10分経って少し落ち着いたところで測定して下さい。測定法の説明が掲示されていますので、よく読んで正しく測定して下さい。140/90を超えている場合は、深呼吸をした後、さらに2~3回測定してみると良いと思います。もしも、基準値を超えている場合には、高血圧症の可能性があります。高血圧に伴って、頭痛や肩こりなどの症状が出現することもありますが、高血圧症の多くは症状がありませんので、時々機会を見て計測してみるのが良いと思います。

 屋久島から帰って翌日から平常通り、早朝の内視鏡から始まり、乳がん検診などの診療を行なっています。でも、森の空気をいっぱい深呼吸してきたので、気のせいか元気が出てきて、「さあやるぞ」と新たな気分で、毎日を送っています。

 
No.17 平成21年6月22日

 先日の6月7日の日曜日、千葉市社会福祉協議会の朝日が丘地区部会の集まりで、がんに関する講演の依頼を受けて、2時間にわたりお話をさせていただきました。内容は、がんにできるだけならないようにするための生活習慣の工夫(がんの一次予防)と早期発見・早期治療のための検診の重要性(がんの二次予防)についてまとめてみたもので、最新の検診の統計や最近分かってきたがんの原因となる感染症についてもお話しました。日曜日の午前中にもかかわらず、多くの方に熱心に聴いていただきました。病院勤務を離れて、地域での医療をしている現在の私にとっては、クリニックでの診断や治療もさることながら、こうした地域の皆さんが健康を維持するための活動をすることも、大事な使命と思っておりますので、大変良い機会をいただいたと感じながら、2時間の時を過ごさせていただきました。タバコの害にも触れましたら、早速数日後に講演を聞いた方のご主人が、禁煙希望ということで当クリニックの禁煙外来にみえていました。以前にも、私の乳がんの講演を聴いた方が乳がん検診に来られ、早期の乳がんが発見されたことがあります。(その方は、今もお元気に術後の経過観察で当院に通院中です。)微力ではありますが、今後もこうした活動を継続していきたいと思います。なお、当日の地区部会のボランティアの委員の方々、大変ご苦労様でした。

 期しくも同じ6月7日ですが、バン・クライバーン国際ピアノコンクールで、全盲のピアニスト辻井伸行氏が、日本人として初めて優勝をしました。このニュースは、大きく取り上げられたので、皆さんもご存知のことと思います。彼のピアノの透き通った美しい音色は、ふだんは音楽にはあまり縁のない私ですが、聞き入るととても心を気持ちよくさせてくれます。また、彼がピアノを演奏している姿を見ていると、何を考え、何を心で見ているのかと、思わずにいられません。盲目ではありますが、きっとわれわれとは違う景色が見えているのではないでしょうか。われわれの見る3次元の世界ではないのでしょう。決して暗闇ではない美の世界だと思います。そういうわけで、さっそく辻井氏がコンクールの決勝で弾いたラフマニノフのピアノ協奏曲第2番の、彼の演奏によるCDを購入しました。私には、ピアノ演奏の技巧やテクニックのことは、さっぱり分かりませんが、この協奏曲が相当の難曲であろうことは想像ができます。しかし、彼の演奏によるこの音楽は、全体として歌を歌うような美しい響きが伝わってきます。ふだん、私のクリニックには常に何らかのBGMがかかっているのですが、あまり選曲にはこだわっておりませんが、今回は是非この曲をと思い、現在このピアノ協奏曲第2番をくり返しかけています。辻井氏の演奏とわからなくても良いのですが、何か気持ちが良くなるような効果があればと、思っております。診察室からは、BGMは聞こえないので、昼休みには良く聞こえる点滴室に行って、つかの間の休息を取っています。なお、今回のコンクールの模様は、The Cliburn Competition Webcast という動画配信サイトから視聴できますので、興味のある方はサイトにアクセスしてみて下さい。(その場合、このサイトからSilverlight2を無料でダウンロードできますので、はじめにそれをインストールして下さい)当分の間は、辻井氏の演奏による他の曲目も、随時かけていこうと思っています。診察お待ちの間、小音量ですが是非聞いてみてください。

 
No.18 平成21年8月24日

 この夏のお盆休みは、岡山県の瀬戸内海に面した「牛窓」というところで、3泊4日をすごしてきました。瀬戸内海の小島が点在し、美しい海岸沿いの景色とおだやかな町の人々の暮らしに接しながら、ただただのんびりとしてきました。日中は、海で泳いだり持っていった本を読んで過ごし、夜は瀬戸内海で獲れた新鮮な魚をいただきました。夜、出歩いてみると、天の川がきれいに天空を横切っていました。天の川をはさんで無数の星々が輝く中、こと座のベガ(おりひめ星)とわし座のアルタイル(ひこ星)を見つけ、子供達が歓声をあげていました。私も懐かしい想いをしながら、眺めていました。4日間、心地よい潮風の中で、心が洗われる思いができ、ひとときの良い夏休みを過ごすことができました。

 乳がんについての啓発、マンモグラフィ検診の普及促進などの活動をしているNPO法人に、「J.POSH(日本乳がんピンクリボン運動)」という市民団体があります。その団体が、乳がん検診を受けやすい環境づくりのための取り組みとして、2009年度から「10月第3日曜日」を「ジャパン・マンモグラフィサンデー」として、全国各地で日曜日の当日に乳がん検診が受けられるようにすることとしました。日本の乳がんの罹患率、死亡率の急増にもかかわらず、検診受診率がいまだ日本では20~30%と低率であることへの対策の一環です。千葉市花見川区では、当院が検診医療機関として指定依頼を受けました。日曜日ということで、マンモグラフィの放射線技師や受付スタッフの了解を得て、10月18日(日曜日)の午前中、マンモグラフィとエコーによる乳がん検診を行うこととなりました。ふだんは忙しくて乳がん検診を受けられないという女性の方は、是非この機会に受診されることをお勧めします。

 胃潰瘍や胃がんの発症にきわめて強い関連性があることが分かってきたピロリ菌。その診療に関するガイドラインが、2009年2月に6年ぶりに改定されました。これは、ピロリ菌に関する新しい知見が、この数年でさらにいろいろと明らかになってきたためです。さらに、ピロリ菌の診断や除菌に関する診療を的確に行なう必要性があることから、「ピロリ菌感染症認定医」制度が立ち上げられ、さる6月に第1回の認定医試験が行なわれました。全国から胃疾患にかかわる医師が集まり、今回193名が認定医として合格しました。私も、診療を1日休診とし試験を受けてきて、認定医となることとなりました。ピロリ菌に関することは、テレビや新聞でも報道されていますが、まだまだ正確なことを知らない方も多く、今後はできるだけ多くの方に、ピロリ菌について知っていただけるようにと考えております。ピロリ菌について知りたい方は、まずはクリニック内またはホームページ上に掲載してある「新・ピロリ菌の最新事情」を、一読してみてください。

 夏のこの時期、新型インフルエンザが全国的な流行水準に達しています。新型用のワクチンに関する詳しい情報は、まだ医療機関には何も伝えられていません。ワクチンが当てにならない可能性もあり、これからの時期、皆様くれぐれも体調を整えておいてください。

 
No.19 平成21年10月23日
 先日の10月10日で、当クリニックも4年目に入りました。新検見川駅の周辺には、内科の先生方の医院は比較的多くありますので、外科医である私ができる医療をこの地域に提供させていただこう、との思いで日々の診療にあたっております。現在の診療内容をみてみると、おおむね下記のようになるかと思われます。
消化器系:35%   乳腺疾患:35%
内科一般:15〜20%   外傷等の処置・手術:10〜15%
消化器系と乳腺疾患を主とした診療であるため、必然的に検査が多くなります。1日のうちで、診察室の椅子にじっくり座っているという時間は、それほどありません。問診の重要性はいうまでもありませんが、検査の結果が最終診断につながることの多い領域ですので、疑わしきは検査で確認、というスタンスは今後も続けていこうと思っています。
 
 さて今回は、3年間の当院における乳腺診療についてまとめてみました。
 
【 乳腺関連の当院トピックス】
  2008年1月、 日本乳癌学会の関連施設に認定
(現在、花見川区での認定は当院のみ)
2008年2月、 マンモグラフィ検診精度管理中央委員会の画像認定施設に指定される(現在、花見川区で指定されているのは当院のみ)
2008年8月、 千葉県がんセンターとの乳がん地域医療連携がはじまる
乳がん地域連携協議会の世話人となる
現在、県がんセンターで手術を受けた乳がん術後患者さん、45名が通院中
2009年10月、 ピンクリボン運動のNPO法人(J.POSH)より、ジャパン・マンモグラフィ・サンデーへの参加依頼を受け、10月18日(日曜日)に乳がん検診を実施(全国で約200施設)
 
【 乳がん検診の診療】(2006,10,10〜2009,9,30)
  (検査件数) マンモグラフィ 3226件 (2593人)
  乳腺エコー 3901件 (2729人)
  細胞診・組織診 312件  
  (発見乳がん) 48名(24歳〜77歳) 乳がん発見率:48名/2593名・・・1.85%
うち、千葉市の検診票持参者(自覚症状なし):955名中
発見乳がんは9名、乳がん発見率:9名/955名・・・0.94%
(全国自治体での乳がん発見率は、0.2〜0.3%となっています)
 
 日本の乳がん検診受診率は20~30%と低迷しています。(欧米では70~80%の受診率です)その理由に、どこに検診に行ったらいいのか分からない、という女性が多くおられます。地元で、精度の高い、質の良い乳がん検診が安心して受けられるようなクリニックをめざして、今後も検査技師とともに、勉強を続けていきたいと思います。

 次回は、3年間の消化器疾患に関する診療についてまとめてみたいと考えています。

 
No.20 平成21年12月20日

 今年の夏前から猛烈な勢いで流行してきた新型インフルエンザですが、ようやく収束に向かう気配がしてきました。幸い今回の新型インフルエンザは弱毒株であり、従来型インフルエンザと比べてもむしろ重症化は少ないといわれています。しかし、国やマスコミの取り上げ方に問題があり、「新型インフルエンザ感染による死亡例」を特別な扱いで報道していました。従来の季節性インフルエンザは、死亡率0.1%ともいわれていて、毎年の冬のシーズンに不幸にして亡くなる方は数千人いるといわれています。一方、今回の新型インフルエンザはこれまでのところ重症化率は0.005%ほどとなっています。今までは、大きく扱ってこなかったインフルエンザですが、新型になったとたんに国民の不安心理をあおるかのような報道をするのは、いかがなものでしょうか。また、ワクチンに関しては、国は自治体や医療機関にワクチンを供給だけして、接種に関してはまる投げの状態です。妊婦や基礎疾患を有する患者さんへの接種はかかりつけ医の責任の下で行なうのは当然ですが、これからはじまる乳幼児や学童などへは無料にして、幼稚園や学校でいっせい校医(私も3つの校医です)が参加してやればいいと思うのですが。予算がなければ、「子供手当て」のごく一部をまわせばできることです。連日、ワクチンの問い合わせや予約の電話で接種医療機関は大変なことになっています。厚労省は、こういう時こそ指導力を発揮して、効率の良いワクチン接種を考えてもらいたかったです。

 前回はクリニック3年間の乳腺診療についてまとめましたが、今回は消化器疾患について振りかえってみました。多くの消化器疾患を診てきましたので、この紙面でまとめるのはとうてい無理なため、行なった主な検査件数と発見された悪性疾患だけを述べるにとどめます。

(期間:2006.10.10〜2009.11.30)
 
1. 上部内視鏡:2152件(1718人) 発見食道がん、または胃がん:16名
       がん発見率:16/1718(0.93%)
2. 下部内視鏡:479件(408人)   発見大腸がん:22名(上皮内がんを含む)
       がん発見率:22/408(5.3%)
3. 腹部超音波:1530件(1073人) 発見肝がん、膵がん等:9名
       がん発見率:9/1073(0.83%)

 症状に応じて検査を行うと、多くの良性疾患が見つかるわけで、上記のような悪性疾患はそのごく一部です。また、症状があっても検査上は異常なしということも少なからずあります。しかし、検査では異常がないというのも重要な情報の一つであるわけで、それにより他の診断にたどり着くこともあります。いずれの疾患にしても、皆様の早いご回復を祈っております。今後も精度の高い検査を心がけるよう、検査には集中力をもって取り組んでいこうと思います。 大きな総合病院に行かずとも、当院でできる外来通院での治療や検査は、身近なクリニックでも病院と同様にできるよう、これからも努めていこうと思っています。

 年末の休みに、息子と「カールじいさんの空飛ぶ家」という映画を見に行く約束があります。皆様は、どのような年末年始を過ごされる予定でしょうか。この拙文を皆様が読まれるときは、新年になっているかもしれませんが、皆様良いお年をお迎えください。

 
No.21 平成22年2月21日
 桜の開花予想のニュースをテレビで見ると、春ももうすぐかと思われるのですが、まだまだ寒さは厳しいこの頃です。「寒さを気合いで乗り切ろう」などと言うつもりでもないのですが、先月1月の日曜日に毎年恒例の千葉マリンマラソンが開催され、ふとした気まぐれで初参加してきました。今年で34回目にもなるそうです。ハーフマラソン、10km、5kmの部がそれぞれあり、恥ずかしながら一番短い5kmにエントリーしました。スタート地点で、森田健作千葉県知事の「みんな頑張れー!」の掛け声とともにスタート。めったに走ったりしないので脚力に大いなる不安を抱えながらも、何だが不思議にうれしいような気分でした。中学生の頃陸上部だった娘(現在は高校生)にはあっという間に置いていかれ、あとはひたすらマイペースを守り、目標タイムを何とかクリアしてゴール。娘から「よく頑張ったね」のねぎらいのような言葉をもらいました。5kmのシニアの部(60才以上)もあるのですが、その優勝タイムを見てびっくり。元気な人はたくさんいるものだ、と感心してしまいました。「よし、来年は10kmだ」とその時は思いましたが、実行できるかどうかは、はなはだ疑問です。走らなくても良いとは思うのですが、自分で体調管理はしなければいけない、と今更ながら反省しつつ、今年はできるだけ体を動かそうと思っています。

今年から毎週木曜日の午前中に、千葉大学第1内科(消化器内科)の女性の医師が、内視鏡検査を行いに来てくれることになりました。これまで、上部内視鏡は私が毎日午前の診療開始前に2名行い、下部内視鏡は土曜日午後に千葉大学第2外科の同門の医師に頼んでやっていました。検査の予約枠を広げて、なるべく早く検査の対応ができるようにと、今回新たにこの女性医師にお願いしました。木曜の午前いっぱいかけて、内視鏡室でその女医さんがずっと検査をしています。機敏で巧みな内視鏡操作とともに、いろいろなところに患者さんへの気配りの利くところは、さすが女性だなと感心しています。上部も下部もやっていますので、内視鏡検査ご希望の方は、こちらもどうぞご利用してみて下さい。一度に上部と下部をやってしまうことも可能です。私も1年に1回ほどは、自分のクリニックの人間ドックを受けているのですが、さすがに胃カメラだけは自分でやるわけにはいかず、しばらく胃の検診を受けていませんでした。今回、この女医さんが来てくれたので、近々私の胃カメラをやってもらおうかな、と思っています。余談ですが、世の中には変わった医者もいるもので、自分の胃の検診は自分で胃カメラを入れてやっている、というドクターがいます。年に3~4回は会って食事をするのですが、「奇人変人の番組にでも出られるよ。」と私は言って、マスコミに知らせようと茶化しています。

 皆様、ご自分の健康管理はやはり自らが行なうのが基本になりますので、体調にはくれぐれも気をつけてください。そして、今後も当クリニックでできる範囲のことは、微力ながらお手伝いさせていただきますので、よかったら何かとご相談ください。桜前線も、もうすぐそこまで来ています。皆様が、桜見を気分良く迎えられますことを、祈っております。

 
No.22 平成22年4月22日
 2年に一度改定される診療報酬が、今年度4月に改定されました。医療機関側からすると、診療報酬は大事な関心事ではありますが、患者さんにとっては、その実態はよく分からないと思います。今回の改定で患者さんにも分かる変化の一つに、「診療報酬の明細書」の無料発行の義務化があげられます。「診療報酬明細書」とはそもそも何だろう、という方も多いと思います。保険診療を行なう医療機関が、その診療に対して請求できる報酬がこまごまと記載されているもの、と考えて下さい。今までの領収書にも、診察料・検査料・処置料等の内訳は書かれていますが、さらにどういう検査をしたか、どういう処置をしたか等の詳細が記載されています。診療内容をよりオープンにしようという時代の要請と思われます。必要な方は、領収書を受け取るときに受付で発行されますので、ご覧になって下さい。不要な場合は、発行しないようにしますので申し出て下さい。

 さらに今改定で見直された一つに、がん治療における拠点病院とその連携医療機関との間の連携強化への評価があります。がん診療の拠点病院と連携医療機関が情報を共有し、患者さんが居住する身近な環境で、質の高い医療を受けられる体制を整備しようとするものです。がん診療の拠点病院である千葉県がんセンターでは、すでに積極的に医療連携を推進しています。当クリニックでは、千葉県がんセンターとの間で、「乳がん」「胃がん」「大腸がん」について、連携パスを作成して医療連携を行なっています。乳がんの医療連携では、すでにがんセンターで手術治療を終了し、その後のホルモン治療を含めた術後経過観察を行なうために、現在70名の患者さんが、当院に通院されています。私が病院勤務の頃に手術した乳がん患者さん等を含めると、約150名の乳がん患者さんが通院されています。がんセンター等での経過観察と同等の質を当クリニックでも確保する必要がありますので、身の引き締まる思いで診療にあたっています。各種検診ともあわせ、マンモグラフィや内視鏡検査の精度管理には、今後も万全を期すことを心がけなければと考えています。

 この4月から、大学時代の同級生の内科医が、幕張本郷駅近くで開業しました。「本郷並木通り内科」といいます。消化器全般のうち、とりわけ肝臓に詳しいので、肝臓で困った方は、是非行ってみると良いと思います。開業前は、千葉大学病院の第一内科の講師をしていて、肝臓の診療に関して後輩医師の指導をしていました。その同級生の激励をかねて、3月に同級生7名で、食事会をしました。互いの再会を喜びあった後、少しアルコールが入りだすと、すぐに昔の学生時代に戻って、わいわいと大騒ぎしていました。学生の頃のそれぞれのキャラクターは、年をとっても皆そのままなところが面白いものです。言いたいことを遠慮なく言い合い、久々に気分良く帰ってきました。ストレスの発散にもいろいろあると思いますが、「古き良き友」と語りあうのも、良い方法と思いますので、皆さんも機会を作ってみたらいかがでしょうか。

 この時期、とりあえず楽しみなのはゴールデンウィークですね。旅行をするのも良し、自宅でのんびり過ごすのも良し。皆様、それぞれの休暇を楽しんで下さい。

 
No.23 平成22年6月28日
 千葉市の乳がん検診事業で、今年度から乳がん検診精度管理委員を務めることになりました。日本の乳がん検診受診率は、欧米の70~80%に比べてまだまだ低く、最近の調査では30~35%といわれています。日本の女性の場合、乳がん検診の受診動機は、
① 各自治体の成人・老人保健事業が行なうがん検診
②職場が行なう健診時に同時に施行
③自分で医療機関に行って行なう
の3つが主なもので、これらを合わせてやっと先ほどの受診率になっています。今後は、当面は受診率50%に達することを厚労省は目標としていますが、そのためには更なる国や検診事業による働きかけが必要と思われます。昨年度から、国の「がん基本対策法」により、40歳以上の5歳ごとに、無料でマンモグラフィ検診が受けられるようになり、より乳がん検診への受診動機が増えるようになりました。いずれにしても、いろいろな機会を利用して検診を受けていくことをお勧めします。今年度からは、千葉市に住民登録のある方は、昨年乳がん検診を受けていない場合、必ず今年度受診券が発行されるようになりました。(昨年までは、30歳以上の偶数の歳に受診とされていました。)昨年、乳がん検診を受けていない方で、受診券シールが送られてきていない場合、千葉市の保健所に問い合わせをして申請されると良いと思います(電話:238-9930)。また、当院クリニック内に千葉市のがん検診に関する詳細の説明用紙がありますので、必要な方は受付に申し出て下さい。

 当院では乳がん検診をしているため、必然的に女性の来院者が多くなり、約70%が女性です。時々、待合室はすべて女性となることもあり、男性が来院されると「あれっ」と思われる方もいます。もちろん、男性もよろしいですので、臆せずに入ってきて下さい。また、受付、看護師、放射線技師、臨床検査技師等、スタッフは私以外すべて女性であり、まさに女性の職場となっています。昼休みの話題は、お料理・お菓子・ショッピング・洋服・エステ、また時にはダイエットの話題などで、楽しそうに盛り上がっています。私は、うたた寝をしながら、それらの話を聞いていないふりをしつつ、耳に入ってくるので聞いています。診療を離れて、昼休みの私自身の気分転換のひとときともなっているようです。また、お元気な患者さんからは、男性からも女性からも、よもやま話を聞かせていただいたり、近況を伺ったりして、それもまたうれしいものです。乳がん検診や内視鏡などの検査等、診断するときはかなりの集中力を要しますが、その集中力を高めるためにも、ほっとする息抜きは必要と思ってやっています。

 梅雨の季節で、天候も不順であり、体調を崩す方もいらっしゃいます。健康的に過ごすための方法等の情報は、いろいろとメディアを通して言われていますが、何といっても自分にあった過ごし方をするのが、一番ではないでしょうか。皆さん、自分が最も楽と思える過ごし方をして、無理のない生活を送って下さい。

 
No.24 平成22年8月31日
 この夏はまさに「猛暑」という言葉がぴったり当てはまる、暑い夏でした。夏バテぎみの方も、かなりおられるのではないでしょうか。私の飼っている犬は大の散歩好きなのですが、暑い日中はさすがに出たがらず、日陰でじーっとしています。犬の顔にも「あー、暑い」とうんざりしている雰囲気がありありですが、せっせと水を飲んで暑さ対策しているようです。

 暑い夏を予想したわけではないのですが、今年の夏休みは北海道の知床半島と釧路湿原に行ってきました。女満別空港に着いてレンタカーを借り、雄大な自然の中をゆっくりと見たり歩いたりしてきました。知床半島は世界自然遺産にもなっていますが、日本の未開の地の果てのようで、自然がそのままにされています。大きなヒグマが川で鮭を取る姿は圧巻で、思わず興奮してしまいました。私は自然の熊を見たのは初めての経験でしたが、皆さんの中でも、自然の熊を見た方は少ないのではないかと思います。鹿は至るところで見かけますし、狐も出てきました。知床半島の海岸線は、観覧船のクルージングで見てまわるのですが、100~200mもある切り立った崖は、何万年もかけて流氷によって削られてできたものだということでした。海岸には海鳥がたくさん翔んでいましたが、とても気持ちよさそうに大空を舞っていました。釧路湿原はとても広く、車で回りましたが、カーナビがないと現在地が何処だか分からなくなるようでした。展望台から一望した湿原に、丹頂鶴が羽ばたいているのが印象的でした。気温は30度くらいにはなりますが、からっとした暑さで、気持ち良かったです。冬はとても厳しいのでしょうが、こんな自然の中で暮らすとしたら、まったく違う人生を感じて生きていくのだろうな、と思って千葉に帰ってきました。

 マンモグラフィ撮影でできたフィルム(マンモグラムといいます)は、人それぞれ顔が違うように、マンモグラムもどれ一つ同じものはありません。マンモグラムを読影するのは日々の仕事ではありますが、マンモグラムの神秘的な魅力を感じつつ、読影させていただいています。乳腺医は、おそらく皆同じような感覚を持っているのではないかと思います。聖路加国際病院の乳腺医が中心になって、「マンモグラフィ・リーディングクラブ」という名の勉強会が、東京で時々開かれます。夜の6時~9時、乳腺医約100名ほどが暗い部屋でマンモグラムと向き合って、いかに病変部を見極めるかの研鑽を積みます。私も都合のつくときはよく参加するのですが、帰りの電車の中では、頭の中にマンモグラムが次々と浮かんできてしまいます。電車の中では、最近は携帯を見ている人が多いですが、そうでない人は1日の喧騒を離れて、疲れを癒すために頭の中をお休みの状態にしている人が多いのではないかと思います。そんな中で自分は、目を閉じた瞼に映るマンモグラムを見ながら、うたた寝をして帰ってきます。良いマンモグラムを撮影するためには、放射線技師の技術はもとより、被検者である受診者の協力がなんといっても必要です。マンモグラフィを受けられる方は多少の痛みを伴うかもしれませんが、是非ともご協力をお願いします。マンモグラフィ機器の精度管理は、毎日朝欠かさずに行なっています。武士の刀は、毎日の手入れが必要なように、マンモグラフィ機器の管理も大変重要なものです。今回は、10月のピンクリボン月間を前に、マンモグラフィに対する思いを書かせていただきました。

 
No.25 平成22年11月1日
 先月の10月は、当クリニックにとってはややあわただしい月となりました。すでにご存知の方も多くなってきましたが、10月は乳がん検診の啓蒙のためのピンクリボン月間です。マスコミによる報道もあってか、当院にも10月は多くの乳がん検診の受診者が来院されました。また、10月の第3日曜日はマンモグラフィ・サンデーといって、全国の医療機関で日曜日にマンモグラフィの検査が受けられるようになっています。今年は、当院では16名の受診枠を設けて、午前中に限って行いました。日曜日に勤務してくれたスタッフ達とは診療後にランチを食べに行き、今後も我々でできることはやっていこうと、話しました。10月の乳がん検診の受診者総数は341名で、そのうち5名に乳がんが発見されました。その方々には、治療に専念されて早くご回復されるよう、願っております。ある日、千葉県の地域新聞の女性記者が乳がん検診のため来院し、いろいろと質問をして帰られました。その後、その乳がん検診の体験談が、地域新聞(北総版)に載せられていました。日本の乳がん検診の受診率はまだまだ低いのですが、各市町村がそれぞれ努力をしていて、次第に乳がん検診への関心が高くなってきています。私は、千葉市の乳がん検診精度管理委員を務めていますが、千葉市の乳がん検診の受診率が、数年後には全国に先駆けて50%を超えるようになることを願っております。

 次いで、少しだけ騒動だったのは禁煙外来です。もともと患者さんの要望もあって昨年の3月から禁煙外来を始めたのですが、いつもは1ヶ月に4~5名だった受診者が、10月1日のタバコの値上げに伴い、9月末から10月初旬にかけて治療希望者が急増しました。その少し前から、全国的な禁煙治療者の増加により、全国各地で禁煙治療薬が不足していました。すでに、禁煙外来をしている病院では、10月に入って禁煙治療の新規患者の受け入れができなくなっていました。当院では、まだ少し当院隣接の薬局に治療薬があったため、新規治療ができていたために当院に問い合わせがあり、予約で禁煙治療を受付けました。しかし、10月中旬頃には、当院でも新規の禁煙治療ができなくなってしまいました。その後も、禁煙治療希望者はおられるのですが、お断りしている状況です。

 そして、10月からはインフルエンザワクチンの予約と接種が始まりました。昨年は、新型インフルエンザの流行やワクチン不足などで、予約を受付けることもできず、ワクチンの入荷と同時に希望者に連絡して接種を行ない、大いなる混乱を来たしました。今年は、ワクチンも十分にあり、ワクチンの予約と接種は極めて順調にいっています。例年、11月に接種者が一番多いのですが、このままなら特に問題なく希望者に接種することができると思います。
ご希望の方は、お電話か受付で直接申し込んでください。

少し肌寒い日もあるようになってきました。冷えた体には、鍋物などの暖かい食事と熱燗で一杯が、とても美味しく感じます。暖かいお風呂も、気持ちが良いです。寒い時期にしか味わえないささやかなひと時を楽しみにして、冬を迎えようと思っています。
 
No.26 平成23年1月3日
 新年おめでとうございます。皆さんは、どのように新しい年を迎えられましたか。年が変わると不思議と気分も新たになるもので、皆さんの中にも「今年の抱負」をいくつか胸に秘めている方もいらっしゃることと思います。

 当クリニックも今年の10月に、開院5年目を迎えます。開院当初に私が目指した、「消化器・乳腺疾患を中心とした地域住民の方の健康の維持」という診療方針で、現在も微力ながら地域医療の一角を担わせていただいています。本来私は外科医であり、当院でできる外科的疾患には常に対応できる準備をしております。開院以来、当院で行った局所麻酔下での手術や外科的処置の症例を以下に記載しておきました。

 
(平成18年10月〜平成22年12月)
摩擦過剰創作などの外傷処置: 972名
縫合を要した外傷措置: 303名
皮膚表在表在腫瘤摘出術(粉瘤・脂肪腫など): 116名
皮膚切開術(皮膚膿瘍、乳腺膿瘍など): 74名
熱傷処置: 53名
爪甲除去: 43名
鶏眼(うおのめ)処置: 39名
良性乳腺腫瘍摘出術: 25名
陥入爪手術: 12名
 
 以上の症例数により、平成23年1月から日本外科学会の専門医制度により学会関連施設との指定を受けることになりました。千葉市の無床クリニックとしては、初めての外科の施設認定となります。平成20年に日本乳癌学会の関連施設、平成21年にマンモグラフフィ画像認定施設の指定(ともに千葉市花見川区で初めて)を受けて以来、3つ目の施設認定になりました。

 想えば、私が千葉大学第2外科に入局して外科医を目指したのは30年近く前になります。消化器や乳腺疾患の手術手技を勉強し、また多くの先輩方から指導を仰ぎました。カナダに留学の折、アメリカのピッツバーグ大学に行って肝移植手術にも触れてきたのを、昨日のように思い出します。昨年、映画「孤高のメス」(原作:大鐘稔彦)が上映されていましたが、原作内で外科医の当麻鉄彦がピッツバーグ大学に手術の勉強に行く様子が、描かれていました。原作者(現役の医師です)が、「手術は手編みのセーターをこつこつ編むような、耐えて忍ぶ地道な仕事」と表現していましたが、これは何事にも通じる精神と私は考えており、現在もこの思いで外科や内科診療にもあたらせていただいています。このように、私は外科を通じて多くのことを学ばせていただきましたので、今後も当院で対応できる手術や外科的処置は、できる限り積極的に行なっていこうと思っています。

 新年恒例の箱根大学駅伝をテレビでみながら、このクリニック便りを書きました。皆さんも、それぞれ思い思いのお正月を過ごされたことと思います。今年が、皆様にとって良い年となりますことを、心より願っております。

 
No.27 平成23年4月24日
 3月11日の東日本大震災は、戦後の日本を1日にして大きく変えてしまう大災害となってしまいました。行方不明者を入れて2万人以上の方が亡くなり、今もなお10万人以上の人達が避難生活をされています。家族や家・財産などを失った悲しみは計り知れないものであり、その方々のことを思うと、心が張り裂けそうに痛みます。

 国難ともいえるこの時期に、人的・物的支援や義援金の呼びかけなど、すでに多くの人達が復興に向けた支援をされています。原発への対応や風評被害等の不安な面はまだまだありますが、日本人一人一人が思いやり、復興に向けて力を合わせていけば、やがて大きな力になって必ずや10年後、20年後には、日本の底力が見事に発揮されていることを信じています。

 当クリニックでは、ささやかではありますが日々の診療報酬(診療に対して支払われる患者さんの自己負担分と、健康保険から支払われてくる診療費)すべての中から一定の割合を、3月から今年末まで震災義援金として寄付していくこととしました。日々の診療が、少しでも被災された方に寄与できればと当院のスタッフ一同が願って、診療にあたらせていただきます。受診された患者さんには負担はありませんが、診療費の一部が義援金に廻っていることをご理解いただきたいと思います。

 つい先日の4月21日、元キャンディーズの田中好子さんが、乳がんのため亡くなりました。同世代である私は、大学生の頃下宿の部屋で、友人達とキャンディーズの曲を歌って過ごしたのを思い出します。乳がんと分かってから約20年間の闘病生活だったということで、そんなこととは私も知らず、驚きました。現在、当院通院中の乳がん術後の患者さんは、約150名おられます。田中好子さんの一報以来、来られた患者さんの多くの方が、このことに触れていました。よく乳がん検診に来られた方から、「乳がんにならないための方法はありませんか。」との質問がありますが、現在の医学では乳がんの予防法はまだありません。「乳がんにならない方法はないので、もしも乳がんになったとしてもできるだけ早く発見できるように、定期的な検診を受けるようにして下さい。」とお答えしています。現在、女性の20名に1人が、乳がんに罹患するといわれており、今後も日本人の乳がん罹患率は上昇していくと考えられています。当院では、開院以来92名の方の乳がんが発見されていますが、約30%の方が早期乳がんの段階で発見されています。一方、乳がん検診を受けたことがなく、自覚症状を訴えて受診し、かなりの進行した状態で発見された方も少なからずおられます。乳がんで生命を亡くすことがないよう、当院では今後も乳がんの早期発見のために、検診の精度管理をさらに向上させるよう、スタッフが皆勉強し努力していく所存であります。「スーちゃん、ありがとう。安らかに、お眠りください。」

 日本全体が今は、我慢が必要な時でありますが、各自でできうることをして、きっと来るであろう明るい未来のために、努力していきましょう。私も微力ながら、医療を通して皆様のお役に立てるよう、努めてまいりますので、よろしくお願いいたします。

 
No.28 平成23年7月5日
 7月に入り、今年も折り返し地点を過ぎました。震災の大災害があり、現在も原発の放射能の問題など、日本には試練の年となっています。7月からは電力を多く使う企業での電力制限が行なわれていますが、こういう年に限って6月下旬から30度を超える夏のような暑さが続いています。小事業所と家庭の電力で全体の2/3の需要を占めるということですから、皆で節電に努めていくことが、やはり大事ということです。当クリニック内では、エアコンのクーラーの設定温度を高めにし、使わない部屋の電気はこまめに消す、とごく当たり前のことしかできませんが、細かな積み重ねをしていくつもりです。私自身は暑いのは平気であり、クーラーはむしろ好きではないので、自宅では自分の部屋ではクーラーはもともと使いません。電車も弱冷房車を探して乗ります。妻や子供達とは、体のいわゆる「温度差」があり、夏はクーラーがついているダイニングでの食事が終わるとさっさと自分の部屋に行って、扇風機のさわやかな風にあたって、ひとり気ままに過ごします。いずれにしろ自分にあった過ごし方が一番と思いますが、電力不足ということで公共の場では体温調節が難しくなる可能性もあるため、皆さんも体調管理に気をつけてお過ごし下さい。

 今の日本の現状によるためか、または季節が不安定なためか、最近は胃腸の調子を崩す方が多いように思います。消化器疾患は、問診や診察だけでは正確な診断は難しいことが多く、1年以上検査をしていない場合で胃腸の調子が良くない場合には、私は迷わず内視鏡検査や超音波検査をするようにしています。日々の診療で胃腸疾患を診断する場合には、炎症や潰瘍・がんなどの器質的疾患なのか、その臓器の機能に問題のある機能的疾患なのかを大きく分けて考えていきます。検査をしてみると、約7~8割ほどは機能的疾患であることが分かりますが、2~3割の方に器質的疾患が見つかります。それぞれの診断に応じて、治療法は大きく異なってきますので、正確な診断をするための精度の高い検査がやはり欠かせないといえます。現在、毎朝2名の上部内視鏡を私が行い、その他に火曜・木曜日の午前中に上部・下部内視鏡と、第1・第3土曜日の午後に下部内視鏡を千葉大学病院から医師を呼んで行っています。これで、月に100名の内視鏡検査は可能となりました。また、超音波検査は、必要時はいつでも行ないます。また内視鏡検査による検診によって、早期の胃がん・大腸がんを発見することも、大切なことであります。今後も、多くの方の「おなかの健康」にお役に立てるようにしていきたいと思っております。人は、健康と感じる3つの要素は、「快食」「快便」「快眠」といわれています。皆さんが、美味しく食事ができることを願って、今後も内視鏡検査にあたっていこうと思います。

 当クリニックでは、さらに乳がん検診にも力を入れていますが、本年6月までに延べ8168件のマンモグラフィを撮影し、103名の乳がんが発見されました。発見乳がんの方々の年令分布、受診動機、マンモグラフィや超音波の検出感度等につき、今回若干の分析をしましたので、次回のクリニック便りでご報告する予定です。

 
No.29 平成23年9月20日
 当クリニックも、本年10月で開院5周年を迎えます。病院勤務時代とは違う医療事務や患者さんへの対応で、私自身やスタッフも不慣れな面もあり、患者さんの皆様には大変ご迷惑をおかけしたこともあったかと思います。そのような思いをされた皆様には、あらためてお詫びを申し上げます。だた、常に医療の質だけは良いものをご提供できるよう、地域のかかりつけ医として、当院で可能な診断・治療は迅速に行なえる体制作りと、症例に応じては適切な他の専門医へのご紹介を躊躇なく行なう、ということを心掛けてまいりました。
No. 1001からはじまるカルテ番号は、現在No.16000番台になっており、開院当初からずっと通院されている方から、最近になって来院していただいている方、等々、再診時には「お元気にされているかな・・・」と思いながら、診療にあたっています。

 さて、前号で予告しましたように、これまでに当院で発見された乳がん症例につき、若干の検討を行いましたので、乳がん検診にあたって女性に参考になると思われる部分を、ご報告させていただきます。

当院で、2006年10月~2011年8月の間に施行された乳がん検診における、検査件数は下記の通りでした。
マンモグラフィ    延べ 8490件(5206人)
乳腺エコー      延べ 9082件(5643人)
細胞診または組織生検    520件
この期間に発見された乳がんは、108例
発見された108例/受診者数5643人=1.91%の発見率でした。

①年代別の発見乳がん人数
年代別の発見乳がん人数
 40代~60代と、比較的若い世代に多いことが分かります。また、30代にも13名もおられ、最年少は24歳でした。これ程多く若くしてなる「がん」は、乳がんと子宮頚がんだけでしょう。一方、70代も7名おられました。最高齢者は87歳でした。外来で診察中に、70代で検診に来られた方が、「私のような高齢者は、もう乳がんにはならないだろうから、検診しなくてもよいですか?」と、時々質問されることがありますが、決してそのようなことはありません。特に、現在の日本では、高齢者の乳がんが増えているという統計が出ており、ご高齢の方も気を付けてください。
②乳がん発見者の受診動機
乳がん発見者の受診動機
 症状がなく、検診目的で受診されて乳がんが発見された方が、34名(31%)でした。34名中、確実に治癒できる非浸潤性乳がん(DCIS)が、12名(35%)おられました。紹介先から返信がないこともあるため正確な数字が分かりませんが、その他もほとんどが、約90%の治癒が見込める「病期Ⅰ」の乳がんと考えられます。(注:「病期Ⅰ」とは、腫瘍径2cm以下で、リンパ節転移のないもの)一方、しこり触知等の症状ありで来院されて発見された方は74名(69%)で、病期はⅠ~Ⅳとさまざまでした。症状がなく見つかる乳がんは、やはり治癒できる可能性が高く、検診の重要性を多くの女性に知っていただきたいです。
③発見乳がんのマンモグラフィとエコーの検出率
発見乳がんのマンモグラフィ検出率
 
発見乳がんの超音波検出率
  発見乳がん108名中、マンモグラフィでの検出率は101名(91%)であり、逆に言うと7名はマンモグラフィで描出されていません。マンモグラフィ非検出乳がん7名中、6名はエコーで検出されて発見されたものです。エコー検査をしていなかったら、見逃された可能性があったといえます。
一方、エコーでの検出率は、100名(93%)であり、8名はエコーでは描出されていませんでした。その8名中7名が、マンモグラフィで石灰化として描出され、後のマンモトームという検査(ちば県民保健予防財団に依頼)で、乳がんと診断されました。
マンモグラフィにもエコーにも描出されていない乳がんが1例ありましたが、血性乳汁分泌を訴えて来院され、当院での乳汁細胞診で乳がんが強く疑われ、千葉大学病院で手術を施行して、微小乳がんが見つかっています。

 今回の結果でも分かるように、「マンモグラフィのみ」或いは「エコーのみ」の検診には、乳がんが見逃される場合があることが、従来より言われています。そのため、当院では、できる限りマンモグラフィとエコーの併用検診を受けるように、お勧めしています。

 10月は、ピンクリボン月間です。また、10月第3日曜日(今年は10月16日)は、マンモグラフィ・サンデーといって、全国で日曜日にマンモグラフィ検診が受けられる日となっており、今年も当院で当日午前中いっぱいをかけて行ないます。平日は仕事で検診を受けられない、しばらく乳がん検診を受けていない、という女性の方は、是非この機会に検診をしてみてはいかがでしょうか。

 これから、季節は過ごしやすい時期になってきますので、心地よい秋風を受けながら、体調を整えていって下さい。また、「食欲の秋」でもあり、ご自分にあった好きなものをゆっくりと味わって食べて、秋の夜長を過ごしてみてください。

 
No.28 平成23年7月5日
 先日の9月29日、小田和正の東京ドームコンサートに行ってきました。娘がチケットを手に入れてくれて、何年ぶりかという程久しぶりに夫婦でコンサートを聴いてきました。午後の手術と検査を終え、総武線に飛び乗って水道橋駅に着くと、私と同年代と思える大勢の人達が東京ドームに向かって歩いていました。コンサートではたっぷりと3時間、あの透き通るような声で歌う懐かしい曲を聴かせてもらいました。自分が大学生の頃、オフコースのレコードを聴きながら、下宿の部屋で友人達といろいろなことを語りあっていたのを、昨日のように思い出しました。立ち上がって皆で盛り上がって手拍子で聴くのも良かったけれど、やはり小田和正の歌は静かにじっくりと聴かせてもらうのがいいですね。すっかり気持ち良くなって、コンサートの後食事をして帰宅したら、0時を過ぎていました。翌日はやや寝不足気味でしたが、心地良さの余韻が残っていましたので、疲れは感じずに診療にあたることができました。

 10月には、岡山で行なわれた日本乳癌検診学会に参加し、当院でのマンモグラフィ検診に関する若干の知見を発表してきました。発表内容は、マンモグラフィでは描出できない乳癌を精度良く検出するための方法について、というものです。詳細は、前号のクリニック便りで述べていますので、そちらを参照してみて下さい。医師のほかにも放射線技師・臨床検査技師など1,600名ほどが集まっていましたので、大変活発な議論がされていました。学会の開催場所は、関東以外の少々遠くが良いと思っています。往復の乗り物の中では、弁当を食べ少々アルコールを飲んで、本を読みながらいつの間にかうたた寝をする、というのがいつものパターンで、乗る時間をわざわざ食事の時間に合わせたりしています。そして、できれば発表をすることによって、多少の緊張感をもっていくことができます。来年の日本乳癌検診学会の開催は沖縄ということで、今から楽しみにしています。年に2~3回ですが、新しい医学情報を入手し自分の知識を確認しつつ、気分転換をしてきています。

 クリニックも5周年を迎え、さらに検査の精度を高めるため、エコー機器を買い換えました。より高精細なフルデジタル装置へ変更することにより、画質の性質が大きく変化しました。専門的には、空間解像度・濃度分解能がともに格段に向上したということですが、分かりやすく言うと、より多くの情報が読み取り可能になったと言えます。腹部・乳腺等の診断に、より強い味方ができたと思っています。現在、エコーで写した画像をLANケーブルを使って診察室で即座に見られる、ファイリングシステムを構築中です。内視鏡画像は、今年4月にファイリングシステムを取り入れて、すでに診察室でいつでも閲覧可能となっています。このように、今後も診療に役立つものは、できるだけ取り入れていきたいと考えています。

【診療時間変更のお知らせ】
来年1月より、月・水・金曜日の午後診療の受付終了時間を、18:00から17:30に変更させていただきます。ご了承のほど、お願いいたします。

 
No.31 平成24年1月30日
 1月22日の日曜日に、新春恒例の千葉マリンマラソンがありました。毎年、1万人を超えるランナーが参加する市民マラソンであり、私もランナーの端くれとして今年も10kmの部に参加してきました。当日は冷たい雨が降る厳しい条件となってしまいましたが、せっかくエントリーしたのだからと、意を決して出場してきました。日頃ほとんどトレーニングなどはしていないため、第一の目標は完走であり、もしできれば1時間を切りたいなと、あくまでも無理なく楽しむことを目的に参加しています。雨の中、雨がっぱを着て体が冷えないように注意しながら、何とか1時間を切ることができ、自分としては満足して帰ってきました。その後の3日間ほどは筋肉痛で足がガクガクしていましたが、スタッフや患者さんには分からないように何気ない足取りでクリニック内を歩いていました。歳とともにだんだん体がきつくなってきますが、来年もできれば参加したいと思っています。

 クリニックでは、診療する上での機能性や便宜性を高めるため、徐々に新しい設備を導入していっています。今年になって検査センターと当院の電子カルテがWebでつながり、採血してオーダーした血液データなどのほとんどは、翌日の早朝に自動的に各患者さんのカルテ内に記録されるようになりました。採血データの中には、至急知りたい結果もあり、また健康診断の診断書を急いでいる方などもあり、それらに迅速に対応できるようになりました。また、データをカルテに入れる作業がなくなり、受付けスタッフの作業の負担を軽減することができました。私自身も、病院勤務の頃と同じような感覚で結果を知ることができるようになり、診療がやりやすくなりました。次いで、今年導入したものは、前号のクリニック便りでも触れましたが、エコーのファイリングシステムが稼動し始めたことです。エコーで撮影した画像は内視鏡画像と同様、すべてが診察室で見られるようになりました。また、検査技師のやっているエコーの動画が、診察室横のモニターでライブで見ることもできます。エコー検査と所見入力・画像の閲覧のこのシステムは、メーカーと当院のオリジナルによるものです。開院以来の画像はすべて閲覧できるため、過去の画像との比較も簡単にできるようになりました。これによって、検査の結果をより分かりやすく患者さんに説明することができると思います。精度の良い正確な検査をすることは当然ですが、その結果を患者さんに分かりやすく説明し理解していただくことも、医師の大事な務めと考えております。エコーの検査を受けた患者さんには、今後は診察室で画像でご説明しますので、よくご覧になって下さい。

 1月に入って寒さが一段と厳しくなり、インフルエンザも流行し始めました。風邪をひく方や、また急な下痢・嘔吐で発症する感染性胃腸炎で受診される方も多くおられます。睡眠や休息をしっかり取るようにして体調を整えておくことにより、これらの感染症を防御する免疫能をつけておくことが重要ですので、皆様各自で体調管理をするように心がけて下さい。

 
No.32 平成24年4月5日
 毎朝クリニックまで、15分ほどの道のりを歩いて私は通っています。朝の静かな冷えた空気の中を少しまぶしい朝日に照らされながら、何を考えるともなく歩いています。毎年3月になると、風に乗ってほのかな芳香が漂ってくるのにふと気付かされます。皆様もよくご存知と思いますが、沈丁花(ジンチョウゲ)です。その匂いで、歩いてくる途中に3ヶ所、その花が植えられているのを知りました。1ヶ所は、その香りで気がつき、どこに植えられているのか探したら、あるお宅の庭の奥のほうに植えられているのが分かりました。小さな花ですが匂いは強く、私はその香りが好きです。そして、その香りを嗅ぐと、「ああ、もうすぐ春だなあ」などと思いながら、クリニックに向かって歩いています。
沈丁花が歌われている、松任谷由実の「春よ、来い。」の一節をご紹介いたします。

  ♪ 淡き光立つ にわか雨 いとし面影の沈丁花
溢るる涙の蕾から ひとつひとつ香り始める
それはそれは空を越えて やがてやがて迎えに来る
春よ 遠き春よ 瞼閉じればそこに
愛をくれし君の なつかしき声がする ♪

 歌詞の意味するところの解釈は、皆さんそれぞれに想像されると良いでしょう。
そうしてようやく4月になり、春を迎えました。春の到来により、なんとなく新たな期待や希望が持てる気がしてくるものです。皆さんも、くれぐれも健康に気をつけながら、春の息吹を感じて下さい。

 昨年の原発事故の影響で、放射線被爆に過度の反応を示すニュースが、少し気になっていました。そこで、医療の現場で診断や治療に欠かせない放射線について、少しだけお話させていただきます。単位は、実効線量であるシーベルト(Sv)で表します。まず、多くの被爆者調査から、被曝線量が年間 数十mSv以下ならば、発癌リスクの上昇はないということを知っておいてください。そして、人間は自然界の放射線により、年間1人あたり2.4 mSvの放射線をあびています。そして、医療現場で用いる放射線検査はどれくらいの放射線被曝量があるかをお示しいたします。

医療被曝  胸部レントゲン:0.1mSv
マンモグラフィ:1〜2mSv
上部消化管造影検査:3〜5mSv
胸部CT:10mSv
心臓カテーテル検査:15〜20mSv 

放射線被曝は、少ないに越したことはありませんが、通常おこなっている医療に用いる検査での被爆では、そのリスクは無視できるものと考えています。放射線検査を受ける際に、少しでも参考になればと思い、記載させていただきました。「それでも心配だ。」という方は、どうぞ私か当院で勤務している放射線技師に質問して下さい。

 
No.32 平成24年11月4日
 患者さん と医者の縁は、そのほとんどは偶然の出会いですが、慢性疾患や術後の経過観察の場合には、時として長くお付き合いをさせていただくことがあります。病院勤務の頃にたまたまその患者さんの担当になり、私が手術をしてその後お元気に過ごされて、今でも現在のクリニックに来ていただいている患者さんが多くおられますが、手術をした患者さんですから、名前を聞いただけでその患者さんのことは、病気の重症度から合併症までほとんどのことはすぐ分かります。カルテは見なくても、顔を見ながら診察ができます。一方、クリニックを開院してから当院を受診し、初めて知るようになった患者さんはどうでしょうか。患者さんによっては、すでに3つも4つも疾患を持っていて、多くの薬をすでに服用しているということもあります。こうした外来初診の患者さんについては、顔と名前と疾患名がそうすぐには覚えられませんので、カルテにしっかり書きとめておきます。そうして月に1回診察して徐々に記憶として頭に残り、やがて半年程すると、名前で患者さんのことが分かるようになってきます。私の場合、こうしてやっと患者さんの全体像が見えてきます。ですから、当院に通院し始めてすぐに、毎月薬だけもらって帰ってしまう患者さんが時におられますが、このような患者さんは実は私は、まったくといっていいほど把握ができていません。私は、通院してこられる患者さんのことは、「命を預かっている。」という気概で、毎日の診療にあたっています。患者さんのちょっとした症状や血液検査異常から、重大な疾患が見つかる場合があります。診察は3分で終わってしまうかも分かりませんが、時間のある時はできるだけ診察を受けていただきたいと思っています。忙しい時は仕方がありませんが、時間が許せる時は、読みかけの本や雑誌を持ってきてお待ちいただければ良いかと思います。「予約制にしないんでしょうか」、という質問をよく聞きますが、急な腹痛や発熱、また外傷の患者さんもおり、予約制にするとかえって時間が守れずに混乱を来たすと思っています。どうぞ、ご理解の程よろしくお願いいたします。

 10月の第3日曜日は「マンモグラフィ・サンデー」といって、全国的に乳がん検診ができる日曜日として、全国の医療機関で検診が行われています。ただ、日曜日に医療スタッフが揃う医療機関は限られており、千葉市では今年は当クリニックだけでした。当日の午前中、普段は仕事等で検診に行けないという方が15名来院されました。「日曜日にやってもらえると助かる」、という声を聞いて、受付け事務員や、マンモグラフィ検査技師、エコー検査技師もうれしく仕事をすることができました。仕事を終えて、昼食は近くのイタリアンレストランで、労をねぎらい合いました。乳がんは、30年間で罹患率は3倍、死亡率は2倍に急増しています。今年のピンクリボン月間の10月には、当院での乳腺外来受診者中、7名に乳がんが発見され、我々医療スタッフも驚いています。昨年度(平成23年)の千葉市の乳がん検診受診率(受診券を発行して検診を受けた人数の率)は、31.1%でした。欧米での乳がん検診受診率は70~80%に達しています。日本は検診後進国といわれています。乳がんだけではありませんが、どうか皆様、ご自分の健康管理をしっかりされることを願っています。

 
No.34 平成25年1月6日
 新しい年を迎え、皆様いかがお過ごしでしょうか。皆様思い思いの年末年始を過ごされたことと思います。私は、たまには旅先で年を越そうと思い、12月29日に年末の診療が終わった後、家族で草津温泉に行ってきました。14年ぶりにスキーもしてきました。予想はしていましたが、ゲレンデの大半はスノーボードをしている若い人達であり、スキーをしているのは2~3割だったでしょうか。山頂までリフトとロープーウェイで登ると、冬の寒気団が来ていたせいもあって、温度計は氷点下10℃をさしていました。「かなり寒いな。」と思いつつも、スキーを楽しんできました。夜は温泉にゆっくりつかり、紅白歌合戦を見て、元日に帰ってきました。
ところが、自分では正月の気分転換に良かったと思っていましたら、なんと翌日に38度台の発熱が起こり、その後まる1日ほど寝込んでしまいました。約3年ぶりの発熱でしたが、風邪症状があるでもなく、流行のノロウイルス症状があるでもない突然のダウンでした。幸い1日ぐっすり寝たら回復したのですが、思えば昨年1年間の疲れが溜まっていたのか、草津山頂での冷えが原因だったか、と自分で推測しています。(人間は体温が1度下がると、免疫力が30%低下すると言われています。)でも、この発熱で疲れの垢が一挙に出たような気もして、かえって新年に向けての活力になったような思いでいます。こんな年末年始を過ごし、人間はやはりどこかに無理がかかると、何かの徴候が現れるものだとあらためて感じています。皆様も、無理をせずほどほどに過ごして、ご自身の体をいたわるようにしていかれますよう、年頭のご挨拶といたします。

 クリニックも、開院以来すでに6年が経過しました。消化器関連では、私が毎日早朝に上部内視鏡を2名行い、それ以外に木曜と土曜日に上部・下部内視鏡を非常勤の先生を呼んで行なっています。非常勤医は千葉大から2名、名古屋大から1名来ており、いずれの先生も経験は豊富であり、安心して任せられます。また、腹部エコーは原則予約制ですが、緊急性があればいつでも検査を行っています。乳腺関連では、マンモグラフィとエコーの精度管理に細心の注意を払っています。私は放射線技師には、撮影したマンモグラフィの画像に、絶えず注文をつけるようにしています。また、当院に勤務するエコーの技師は、腹部と乳腺を両方できる力のある技師達であり、かなりハードルは高いと思います。外科的手術ならびに処置はすべて私が行いますが、今年も日本外科学会から入院施設のない医療機関としては、千葉市で唯一の関連施設として認定されました。外傷の縫合をはじめ、局所麻酔で行なう手術や処置は、私の医師としての基盤でもあり、地域の皆様に大きな病院に行かずとも治療できるように、いつも準備しております。そして、軽~中等症までの内科疾患は、できる限りの診断と治療ができるように心がけておりますが、重度な場合や緊急性のある場合にはすみやかに専門医へ紹介できるようにしています。
以上のことは、開院以来変わらずしていることですが、自分の使命と思って今年も引き締めてやっていくつもりで、述べさせていただきました。今後も、地域のご健康に少しでもお役に立てれば、幸いであり本望であります。

 今年1年が皆様にとって良い1年となりますよう願っております。

 
No.35 平成25年4月7日

 千葉市が行う特定健診や各種がん検診は、2月末日が締め切りになっているため、どこの医療機関も検診受診者が1月から2月に殺到するそうです。当クリニックでも、特定健診や乳がん検診の受診者の予約は、2月に集中しています。その上、今年はノロウイルスによる感染性胃腸炎とインフルエンザの流行が年末から2月にかけてあったため、特に2月は毎日てんやわんやの状態でした。 私は千葉市の乳がん検診の精度管理委員を務めていますが、この締め切りの集中を少しでも回避するため、来年度から乳がん検診の無料クーポンの受診に限っては、12月を締め切りとすることにしました。無料クーポンが届いた方は、注意してください。いずれにしても、混んでいることが明らかな締め切り間際は避けて、早めに受診するようにしていただくのが、受診者にとっても医療機関にとっても良いと思います。

 今年の2月21日、ピロリ菌感染胃炎に対する除菌の保険適応がようやく国から認められました。これまで、やむを得ず自費診療で行なってきた除菌治療が、今後はピロリ菌感染者にとってはより行ないやすいようになりました。日本の胃がんの年間発生者は11万人で、この40年間にわたって毎年5万人の方が胃がんで亡くなっています。死亡者数は、全がん中2位を占めています。全国で地域・職域を含めて約620万人が胃がんの公的検診を受けていますが、そのうち胃がんの発見者数は5500人であり、11万人の胃がん発生数の約5%程度しか公的な胃がん検診はカバーしておらず、進行がんで発見されてしまうケースが残念ながら多くなってしまっているわけです。最近の疫学研究によれば、胃がんの95%以上がピロリ菌感染に起因すると報告されています。ピロリ菌感染率が高い50才以上の中高年は、今後胃がん発生の好発年令となっていくため、このままでは胃がんの年間死亡者はどんどん増えていく可能性があるわけです。ピロリ菌感染胃炎を除菌することで、将来の胃がん発症リスクを大幅に減少することが最近の臨床研究で明らかになりました。今回の除菌の保険適応という胃癌予防対策により、今後の日本の胃癌発生者数を大幅に減少させることができると期待されています。ピロリ菌感染が陽性の方は、将来の胃がん予防を根本的に行なうための除菌治療を、積極的に受けることをおすすめします。また、ピロリ菌検査をしたことがない方は、一度検査を受けてみるのが良いと思います。また、若い世代の人達も成人したら早めに検査を受けておくことをおすすめします。

 3月と4月は市の検診事業はいったんお休みとなり、現在は平静を保って診療にあたっています。春を向かえ、気候も過ごしやすい時季になりました。草木はいっせいに新芽の緑を出してきています。世の中の景気も上向きになりつつあるような予感もあり、その調子で皆様の体調も上々となりますよう、願っています。

 
No.35 平成25年4月7日

 新しい年を迎え、皆様いかがお過ごしでしょうか。年の暮れには、今年は1年こんな年だったなあと振り返り、年が明けると今度は前を見て、今年はこんなことをしてみよう、などと考えるものです。

 1年が過ぎるのは早いものですが、さらにそれに輪をかけて速いのが、コンピュータなどのIT関連技術ではないでしょうか。医学にもさまざまに応用され、例えば検査した画像のデータは、データベースに記憶保存され、また他の医療機関にも伝達することができます。私のクリニックで検査した内視鏡やレントゲン・エコーもすべてサーバーに保存されています。学会のプログラムもホームページからダウンロードして、PC内に入れて持ち歩くという学会も出てきました。そこで、昨年娘に薦められてiPad Airを購入しました。iPadが発売された当初は、「あんなものは要らん」と思っていましたが、いざ使ってみると、持ち運びに便利、ネットにどこでもつながる、タッチパネルで操作が簡単、等々でいつも携帯するようになりました。一方、治療面では分子標的治療薬のような分子レベルで疾患を理解しないと、治療方針に難渋してしまうものも多く出てきています。今や医師も、コンピュータを使い、疾患や治療法を分子生物学的に体系的に理解して、それらの技術を臨床に応用していくことが必要な時代になってきました。クリニックもほとんどの情報がデジタル化されていますが、それをいかに効率的に使っていくか、医療の質の向上のためにはIT技術を理解することが、避けては通れない道であります。

 話はがらっと変わりますが、私は友人と時々ゴルフに行くのですが、自分のスコアが良くないと「下手だなあ・・・」と言って顔では笑っているのですが、心の中ではなんとなくストレスが溜まってきてしまうことがあります。そこで、昨年アイアンセットを最新モデルに買い換えました。そして、昨年初めてゴルフスクールにも入りました。スイングのどこが悪いのか、理論的に分かりやすく、コーチに説明してもらいました。その成果はまだほとんど出ていないのが現状ですが、日曜日にはこんなことをしながら、日頃の仕事を忘れて私なりに楽しんでいます。気分転換と少々の運動になるかなと思っています。(妻は、私とはまったく違う趣味があるので、私のゴルフコンペの成績を見て、「くすくす」と笑っています。)

 皆様も、適度に運動するように、と医者から言われたりしていると思います。頭では分かっていても、忙しかったりでなかなか実践できませんね。もし始めたとしても、ただ歩いたり運動するだけでは、よほど意志の強い人でなければ長続きしないと思います。何か楽しみながら体を動かすことを、見つけてみると良いと思います。動機は何でも良いかと思います。人間、目標がないとなかなかやる気になれないものです。今年は2月にソチオリンピックがあります。多くのアスリート達もオリンピックという目標で4年間頑張れるのでしょう。

 今年一年が皆様にとって、健康的な良い年となりますように願っています。

 
No.37 平成26年7月22日

 5月から7月にかけては、日本各地で連日のように多くの医学関連の学会が開かれます。私は今年この期間に、日本ヘリコバクター学会・日本乳癌学会・日本消化器外科学会に参加してきました。それぞれ、東京・大阪・郡山で開催されており、休診にしたり診療の合間にとんぼ返りで参加したりと、あわただしく過ごしていました。インターネットなどで、さまざまな情報が居ながらにして得られる昨今ですが、やはり学会という場で、日本のその領域の最先端の人達の討論をなまで聴くと、実診療で何が役に立ちそうか、自分なりに理解が深まるものです。ピロリ菌の除菌治療に関するもの、乳がん検診・胃がん検診に関する合理的で精度の高い検診方法、などは直接にクリニックでの診療に役立つものですので、皆様に提供できるかと思います。その他の多くの知り得たものがありますが、いつか何かのことで役立ちそうなこともあり、それらは当分私の胸の内にしまっておきましょう。

 本年6月から、内視鏡のシステムをオリンパスの最新モデルに変更しました。開院以来、当院では上部内視鏡は経鼻スコープで行なっていますが、光源とスコープを変えたことにより、経鼻内視鏡の画像が格段に良くなりました。少し以前の経口内視鏡よりもかえって解像度が良くなっています。また、オリンパスの開発したNBI(狭帯域光強調画像)という技術の使用が可能になり、より微細な粘膜構造の観察が可能になりました。これにより、より早期の胃がんや食道がんが見つけやすくなりました。現在では、このシステムは大学病院やがんセンターなどの大きな病院が中心に取り入れているもので、なかなか皆様はご覧になる機会がないと思いますので、当院で内視鏡を受ける方は画面を見ながらライブで説明しますので、どうぞ経験してみてください。

 ある高血圧の薬の論文データ改ざんや、小保方晴子氏のSTAP論文など、近頃は科学論文の信ぴょう性が疑われるような事が多発しています。また、ちまたにあふれている健康食品やサプリメントなどは、そのほとんどは消費者心理をついた何の根拠もないものです。科学の分野では、何が事実であるかはいずれ歴史が解決するであろうに、ごく目先の利益や名誉のために都合のいいように解釈を持っていくのは、いずれ「嘘(うそ)」ということで消えていきます。事実を積み上げていく科学分野の作業は、人間の生き方にも共通するものであるかと思います。何かの目的があったら、それに向かって少しずつ努力することが大事です。健康な体作りも、毎日少しずつ体に良いことをやっていく作業の積み重ねと思います。努力の成果は必ず結果となって現れますので、どうか皆様も長期の計画性を持って、ご自分の体のことを考えて毎日を大事に過ごしてください。

 
No.38 平成27年1月25日

 先日の1月18日の日曜日、快晴のもと千葉マリンマラソンが開催され、今年も10㎞の部に参加してきました。参加するからには目標タイムを決めてやらないと物足りないと思うのですが、年々歳をとって脚力も心肺機能も低下しているので無理はできないと、「まあ心臓麻痺で倒れない程度に」と思って、走ってきました。何とか例年のタイムに近く完走できて、ほっとしています。最近はGPS機能のついたランナー用のウォッチがあって、スタートから走った距離がリアルタイムに分かり、さらに1kmごとのラップタイムも教えてくれるため、走りながらこのままのペースでいけばどれくらいでゴールに着くかがわかるようになっています。車のナビと同様、便利なものができたものです。途中で足が痛くなってきたのですが、そのまま周囲のランナーとともに流れに乗ってゴールできました。課題は脚力だと分かり、来年に向けて頑張ろうと年甲斐もなく思っています。ゴルフのほうは、昨年は月1回のラウンドでしたが、月1回ではスコアは全然上がっていかず、悔しいので今年はできれば月2回にしてスコアアップを目指そうなどと考えていますが、どうなることでしょうか。

 前回のクリニック便りでご紹介しましたように、昨年は内視鏡システムを一新し経鼻スコープも最新のものにしました。一方、乳がん検診で必須のマンモグラフィの読影に関して、フィルム診断からモニター診断に変更しました。マンモグラフィ画像診断用ディスプレイとして必要とされるのは、500万画素(5メガピクセル=2048×2560)の解像度を持つ機種とされており、導入が日本ではやや遅れていましたが、現在ではモニター診断が主流となっており、各医療機関が画像情報を共有することも可能となってきました。また、開院以来撮影してきました皆様のマンモグラフィの写真はもちろんのこと、胸部レントゲンや内視鏡写真もすべて当院のサーバーに保存されており、過去の画像を瞬時にモニターに出すことができ、過去画像との比較などが容易にできるようになりました。画像診断では、時として経時的変化を見ることが重要になることもあり、今後は大いに活用していこうと思っています。

 昨年の12月中旬頃より、インフルエンザやウイルス性感染性胃腸炎が猛威を奮っており、すでに罹ってしまったという方もおられると思います。流行時には注意していても罹ってしまうことはあると思いますが、できるだけ免疫力を付けておくことが多くの疾患について共通の大事なことです。私が自分なりに気を付けていることは、睡眠時間を十分に確保することと、普段できるだけ運動などで体を動かすことです。3つめは、腸の調子を良くすることをこころがけています。人間の小腸は4~5m、大腸は1.5mあり、それぞれに腸間膜が広く付着していて、そこに多くのリンパ節が存在しています。そのため、人間の免疫力の半分は腸で養われるとも言われています。風邪をひきやすいなど体調が良くない方で、排便が不規則など腸の調子が良くない方は、ぜひ腸を大事にしてみてください。食事の時間も大事ですが、排便のほうにも気を付けて習慣づけるようにし、腸をいたわってあげてください。

 今年も皆様が元気に健康で過ごし、良き一年となりますように願っております。

 
No.39 平成28年5月9日

 健康保険での診療の場合、月初めにはいわゆる「レセプトチェック」といって、前月に来院した患者さんの診療の検査や処方が、患者さんの疾患・病名と照らして整合しているかを点検して、診療報酬の請求をします。病院など医療機関の多くは医療事務員がそのほとんどの作業をしていますが、私のクリニックでは、すべての来院患者さんのレセプトを私がチェックしています。点検をしながら、患者さんのお名前を見ると、ほとんどの方のお顔を思い起こすことができます。そして、カルテを見ながら診察時のことを思い出しています。今回は、その時何を思いながらチェックしているのか、私の胸の内を書いてみました。

・血圧も血糖も、安定しているなあ。いつも、ご自分の近況を元気にお話しされる。
・最近は、胃の調子は良いみたいだ。食欲が出てきて良かったな。顔色も良くなった。
・乳癌の術後経過は問題なしだ。再発も現在のところなくて、良かった。
・ひどい嘔吐と下痢だったな。点滴をして帰ったけど、その後すぐ回復したかな。
・検査の結果は大腸がんだった。千葉大学病院にご紹介したけど、もう手術されたかな。
・咳が長引いていたけど、吸入が効いたなあ。咳喘息の患者さん、最近多いなあ。
・乳がん検診で発見された乳がんの女性だ。しばらく大変だけど、しっかり治療して欲しいな。回復を祈っている。
・怪我の子供だ。皆で押さえて、傷を縫ったけど、大騒ぎだったな。
・最近、血糖値が上がってきている。食べすぎか、運動不足かだな。もっと注意しよう。
・すごく待った、と言って怖い顔をして怒っていたな。申し訳なかったな。
・今回も薬だけで帰ってしまったな。お会いして体調を確認したいんだけどな。
・最近、よく風邪を引くみたいだ。少し疲れているんじゃないかな。
・旅行に行くと言っていたな。今度会ったら、楽しかったか聞いてみよう。
・いつもご夫婦で来院する。仲が良くていいな。
などなどです。いずれにしても、皆様に元気な健康的な日常を取り戻していただきたいという想いに、変わりはありません。

 以上はわずかな例であり、お1人ずつ何かを思いながら丹念にレセプトチェックをしています。病院勤務のときは、外科(消化器外科、乳腺外科)をしていましたので、自分の担当した患者さんの手術の経過観察は、最後まで責任を持ってやるのが当然でしたが、クリニックの外来ではそのまま帰宅されるため、「あの患者さん、その後どうしたかな」と、つい心配になってしまいます。

 5月のゴールデンウィークの休み中に、電子カルテに向かいながら心の中でつぶやきつつ、一人で「レセプトチェック」をする様子をお伝えしました。

 
No.39 平成28年11月7日

 今から12年程前の私が病院勤務時代、大腸癌術後の肝臓転移で入院した女性の患者さんがいて、私が手術を担当して幸い肝臓の転移巣を摘出することができ、今でもお元気で私のクリニックに1年に2~3回は遠方から来院される方がいらっしゃいます。その患者さんの娘さんという方が、先日の10月末のある日、相談したいことがあるとのことで来訪されました。お話を伺ってみると、お母様が誤って3cm位の縫い針を左脚のふくらはぎに刺してしまい、救急車である病院に入院したということでした。そして検査の結果、針が深く筋肉内に埋没しているため針を取り除く手術が9日後に予定されたとのことで、現在お母様が痛みで歩行も困難でとてもつらそう、とのことでした。緊急的に針をとる手術ができない理由があるのか、或いはその病院なりの諸事情があるのか話だけでは分からないため、娘さんに病院で撮影したレントゲン写真やCT画像を可能ならば借りて来るように話しました。翌日すぐに、その娘さんは借りた画像を持って来られたのですが、画像を見て私は直感的に局所麻酔で針は取れるだろうと思いました。娘さんも早く何とかして欲しいとの思いで、なるべく早く退院して車で連れて来るということになりました。午後休診の日に手術を行いましたが、針の刺入部位は皮膚の表面からは全く分からなくなっていましたが、エコーで筋肉内の針の位置を確認することができ、局所麻酔をかけて、1時間ほどで無事に針を取り除き、手術を終えることができました。患者さんも娘さんも喜んで笑顔で帰られていき、その笑顔を見て私もスタッフもほっとした思いでいました。日常診療での1つの出来事でしたが、診療には経験や知識に基づいた直感が大事な場合があります。今回は、私が25年間の病院勤務時代にやって来た外科でのことなので、それが役にたって良かったです。私はまだ手が震えることもなく、視力も眼鏡をかければ特に問題がないため、局所麻酔でできる手術はもう少しやっていこうと思っています。

当クリニックも、今年の10月で設立以来10年が経過しました。限られたスペースであり、待合室も狭く、皆様には何かとご不便をおかけしていることと思いますが、これからも常に皆様のご健康の維持にお役にたつよう努めていきたいと思っています。また、医療は日進月歩であり、クリニックに来られる患者さんはいろいろな訴えをされるので、まだまだ日々の勉強が必要と考えています。今後とも、宜しくお願い致します。

トップ 院長のご挨拶と紹介 診療内容 医療設備 診療時間・地図 経鼻胃内視鏡
乳腺外来 大腸内視鏡 外科処置・手術 検診・一般健康診断 人間ドック クリニック便り